フライデーナイト・ハイライト
金曜日の夜中、台所の換気扇の下で煙草を吸っていると左肩に乗りかかってくる手は中指の欠け具合や平たい親指の爪と攣れた火傷痕からして俺が小学生だった頃に夏休みの良く晴れた日に煙草を買いに出かけたきり戻らなかった父のものなのだろうが、振り返っても手首から先には何もないのでどの面下げてと詰ろうにも顔がないなとかつまらないことを思いながら、せっかく掌だけでも戻ってきたなら昔格別機嫌がいいときに気まぐれにしてくれたように頭でも撫でてくれないだろうかと微かな期待を抱きつつ左肩の重みを見つめるが、手は黙って俺の肩に張りついたままで、換気扇のノイズと細い紫煙だけが薄闇に澱のように積もっていく。
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