真夜中は別の顔
惚れた女が子持ちで結婚して数年で死に、手元には遺影と義理の息子しか残らなかった運の悪い男が俺の義父なのだが、最近その義父が真夜中に頻繁に外出するようになり、火遊びの種類によっては俺にも被害が及ぶとある夜後を追ったのだが、繁華街の薄暗い路地裏に若い男と入った途端痩せたスーツの背が裂けデカいマリモじみた怪物に変貌し男を飲み込んだ。
派手な咀嚼音が落ち着いた頃に声を掛ければマリモは手品のように父に戻り俺の足元に縋りながら父さんを捨てないでくれと繰り返すので、誰にも言わないし見捨てないと約束すれば、ようやく父はいつものような笑顔を見せ、人を食べてもこんな顔で笑えるのだなということに俺は感心している。
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