怪異の予定、土壇場でブッキング

 ベランダに全身真っ黄色の女がかれこれ一時間は立っているのだけども、テレビには見覚えのない廃屋と逆立ちした男が荒い画質で映り続けているし床に座り込んだ俺の真横には地味な顔立ちの生首が置かれているので、どうしてこうなったのかと我が身を省みて、昨日読んだ怪談が読者の元にも黄色い女が訪れる系の代物だったせいだろうと納得はしたが、すると他の連中もこれまで読み飛ばしてきた「この話を読んで一か月後に」「半年以内に」「何年かかっても」の文字列の成果なのかもしれないと思いつつ、驚いて割ってしまったグラスの始末と先程から鳴り続けているチャイムの音を無視すべきかどうかを考えている。

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