　映画と冗談の趣味が合う後輩は、一人暮らしのくせに片付いてレイアウトも凝った小洒落た部屋に住んでいるのだけども、チェストの上に時計やピアスなど諸々の小物に混じってどう贔屓目に見ても捌いたホヤを詰め込まれたカゴの写真が飾られているので、家飲みの最中にあれは悪ふざけなのかと意図を問えば「俺の小さい頃の写真なんですよね」と答えるので、やはり冗談なのだろうかと見返した目からは何の作為も読み取れず、ボケなら拾ってやるべきだろうとどうやってここまで育ったのかと聞けば「よく食べてよく寝ましたし、玉子焼きが好きです」と淀みなく返されたので、子供は意外と雑に育つんだなと俺は曖昧に頷いてみせる。