産みの母、名付けの母、育ての母
遊びに行った後輩の家は想定の三倍くらいちゃんとした一軒家で、ご両親は留守だと聞いてはいたけれども礼儀として挨拶してから家に上がれば、玄関からすぐの左手に仏間が見えたので、とりあえずこういうときは仏壇にも挨拶をしておいた方がいいんだろうかと入れば、天井の際からずらりと並んだ遺影が壁の六割を埋め尽くしている上に写っている人々は皆三十代ほどにしか見えないので、背後にいた後輩に御親族かと聞けば「そちらは母の列です」としか答えずにこにことしているので、俺は手土産のせんべいの袋詰めを抱きしめたまま複雑なご家庭なんだろうなという感想以上のことはどうにかして考えないようにしている。
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