空気のような存在感

 飲み会で先輩が言っていた『行くと気が狂ったり死んだりする凶悪心霊スポット』というのが自分が住むアパートの近所にある廃屋のことだったので、酔い覚ましがてら立ち寄り玄関口で一服してから帰宅したところ、その夜から一人暮らしの自室をほんのり透けてぼやけた人間がうろつくようになったがそれ以上何をしてくるでもなかったので放っておいたのだけども、ある日掃除中に台所にあった調理酒を派手に零したところ床に転がっていた透けた人が流れた酒に触れた途端に霧散してしまい、それからこの部屋に住んでいるのは今まで通りに俺一人だけになってしまったので、近々もう一度廃屋に行こうと考えている。

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