束の間墓に影深し

 叔父の命日なので墓参りに来たのだけれども、梅雨だというのに馬鹿みたいな快晴で、真夏のような凶暴な日射しに首筋を焙られながら線香に火を点けようとライターを握るが、そういえば俺に煙草の吸い方を教えてくれたのはこの人だったと、手引きに分けてもらった初めの一本の銘柄を思い出そうと真昼の熱風に淡く揺らぐ火を睨んでいる。

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