酔歩、散歩、闊歩

 サークルの飲み会の帰り、ほろ酔いで自宅に向かう俺の前を歩いているスーツ姿の男性が左腕に抱えているものが大きさも形もどうやら人の頭部のように見えるので、多分スイカなんだろうけど夜道で裸のスイカ持ち歩いてんのも怖いしなと考えていたのだけども、三叉路に差し掛かった途端に男性が立ち止まったかと思うとこちらを振り返り「兄です」と厳かに言い、抱えられた首まで空ろな目をゆっくりと二度瞬かせたので、とりあえずこちらも数度頷けば男性は晴れやかに笑ってから一礼して角を曲がっていったので、俺は今から朝まで飲める店が駅前にあったかを考えながら街灯の点滅を眺めている。

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