友の情け(有料版)

 四股の果て三人に刺されてハットトリックだと嘯くようなクズの友人が、最近何かにつけて飯や金をたかろうとするので、長年の付き合いとはいえ流石に腹が立って家飲みの最中にとりあえず手近にあった灰皿で何発かぶん殴ったら「口止め料だろ」「そんくらい安いもんだと思えよ」「お前がこないだ山でしたこと黙ってやってんのに何すんだよ」と組み敷かれたまま口の端に血を滲ませて呻くので、こいつまた適当吹いてんなと思いながらも『山でしたこと』に何一つ心当たりがなく、どうせこいつの虚言だろうが詳しく聞くのも何となく嫌になり、とりあえず肋骨あたりに一発入れておくかと俺は痩せた脇腹に膝を押し当てる。

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