うちの庭には象がいた

 小さい頃に実家の庭で象を飼っていて、そいつは長い鼻を人の手のように使って水遊びに付き合ってくれたり親が一日中いない日には話し相手をしてくれた記憶があるが、田舎の一般家庭の裏庭でそんなことができたわけはないのでこの記憶なんだろうなと昼休憩の雑談で後輩に話せば「俺も子供の頃、蔵でゴジラ飼ってるって言われてわくわくしてたのに本当は近所のおじさんが住んでただけでした」と返されたので、俺はあの象の黒々とした目や柔らかな声をこれ以上はっきりと思い出さずにいるべきなのかもしれない。

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