駅近築浅日当たり良好(※条件あり)

 週末だから配信で馬鹿な映画を肴に飲もうと訪れた後輩の家は小綺麗なマンションで、出迎えてくれた後輩に案内され集合ポスト前で蹲る緑色の服の老婆を横目に乗り込んだエレベーターの窓は一階ごとに縦半分の子供が覗き込んでくるし玄関のドアを開ければシンクの傍らに置かれた生首がこちらを見ておかえりと言ってから掻き消えたので、なんなんだここと問えば「日当たりがいいんですよ」というので思わず胸倉を掴むと、だって不動産の人も言ってなかったしなどと呟いて「でも日当たりは本当にいいんです」と泣き笑いのような顔で繰り返すので、俺はとりあえず居間に続く扉のガラス越しに見える真っ赤な人影について聞くべきかを迷っている。

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