忘れない終われない報われない

 俺が先輩を殺したのは四年前で、どうせすぐ捕まるかと思っていたのに一向にそんな気配もなく大学を卒業し故郷に帰り就職してしまったのだけども、その間も先輩は枕元に立ったり部屋中を歩き回ったり天井からぶら下がったりとしっかり化けて出てはいて、死人の先輩は多少血にまみれている以外は俯く眼差しも青白い横顔も右耳のピアス痕もあの夏の日のままなのが何となく腹立たしく、けれども相手は死人なのでこれ以上殺せないことを確かめては溜息を吐いている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る