売約済:現品一点限り
兄が寡夫になって二年が経つが、薬指の結婚指輪だったものを頑なに外そうとしないので、親戚や友人からは亡妻のことを忘れられないのだとか単なる女避けだいや惰性だなどの同情と好奇に満ちた視線を向けられているのだけども、その指輪の下に膿みも治りもせずに僅かな血を滲ませ続ける切り取り線じみた傷がぐるりと輪を描いていることは、あの葬儀の夜に痩せた左手を暴いた俺だけが知っている。
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