冷蔵庫の兄
入居した格安物件、いくら掃除してもべとつく台所の床に墓石のように設置されていた冷えの悪い冷蔵庫を泥酔して帰った金曜の夜中に開けたら見覚えのない生首と目が合ったので、とりあえずこれは自分の兄だということにして生活の悩みや仕事の愚痴を聞かせていたのだけども、最初は短い呻き声での相槌程度しか返ってこなかったのに半月を過ぎた頃には具体的かつ有効な解決策をその青黒い唇から低く囁いてくれるようになり、やはり冷蔵庫の兄さんは頼りになると死人の肌のような温度の冷風を浴びながら、俺は庫内灯に照らされる白濁した眼を眺めつつ夜明けまで兄さんと語らうための話題を探している。
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