猫天使 白い翼食べたら不思議な事ができるようになりました

ノツノノ

プロローグ

海が黒く染まっている。

いや染まっているように見えるが正しい、黒く見える理由は大量の異形、化け物のせいだ。


異形達は人の住む街を見つめ、怪しく笑いながら近寄ってくる。

先頭の異形が砂浜に到着すると同時に、待機していた戦車を筆頭にした兵器による砲撃が行われた。


膠着は一瞬だけだった。

最前線は異形の圧倒的物量により壊滅、第2防衛線もほぼ半壊状態。


その光景を見た誰もが理解した。


『アレは止められない。』


突然やってきた脅威、大勢が安全な場所へ避難しようと走っている。薄く金色が混ざった半透明のドームへ、一心不乱に走っていく。


中に入れた者は膝をつき安堵の表情を浮かべ、呼吸を整えたあと一際大きい建物へと向かう。


建物の前には多くに人々が集まっており、

1人1人身元の確認、と言っても名前と年齢の自己申告のみで、終わり次第建物の中へと入っていく。

その後は家族を探したり、椅子に座り祈りを捧げたりと各々不安を隠しながらも過ごしている。


ミシ!


避難所へ何かが軋む様な音が響き、不安と恐怖に満ち動揺が広がる。


いつの間にか外からの話し声は聞こえなくなっていた。静かな空間にミシミシと音が響く。


避難所の責任者が外を確認するため、窓から外を覗き動きが止まる。


とっくに防衛線は破られ、異形達は半透明のドームへへばり付いている状況だった。


腕を叩きつけ壊そうとする奴、身体全体を押し付けている奴、遠くから瓦礫を投げつける奴…

よく見ると亀裂が入っているのがわかる、壊れるのはもう時間の問題だろう。


住んでいた街が黒く染まっている光景は多くの人々にショックを与え、此処も安全では無くなるのがわかり、皆の脳内には絶望の2文字が浮かぶ。


『救いは無いのだろうか…』


それは中継を見ていた、他の地域の人間の一言だった。




場所は変わり、


「それでいいの?」


身長は高く、腰まである長い金髪、白いワンピースを着ている、少し幼さを感じる美女だが背中からは三対六枚の翼があり、神聖な雰囲気を漂わせている。


その姿は天使としか言いようがない。


そんな存在が、部屋の真ん中で倒れているボロボロの少女へと問う。


「何故助けたいと?」


少女は搾り出す様な声で答える。


「なんで、だろう…」


それは天使の求める答えではなかったのだろう、眉間に少し皺を寄せながら再度問う。


「護られている事を知っているのに、貴方を虐げた人間達を?

本当に助けたいと、それは貴方の意志なの?」


焦っている。

表情は変わっていないが声のトーンでわかる、少女以外に天使の声を聞いている者が居たら、間違いなく焦っていると思うだろう。


「私ね、家族ができたの。」


そう話し始めたのは、問いの答えなどにはなっていない、少女の想いだった。


「最後にお母さんに会った日も、もう覚えてない。

選ばれちゃったから、頑張らないと、って…」


迷うように這っていた手を握る。

頭をゆっくりと動かし、膝枕の状態へ。


「でもね、寂しかった。

温かいご飯だって食べたかったし、誰かに抱き締めてもらいたかった…」


力を振り絞り、天使の目を見る。


「最近ね、夢の中だけど、それが叶ったの…

天使様が、叶えてくれたんでしょ?だからもういいの…」


頭を撫でている天使は何も言わなかった。諦めたように微笑みながら話す少女に何を感じているのか、それは天使にしかわからない。


「あぁでも、猫ちゃんと、もっと一緒に居たかったな…」


その言葉に天使は反応し動きを止め、


「そうか…

願いを叶えよう。」


引かれていた布団へと優しく移動し、着ていたワンピースを騎士風の鎧に変え、


「では行ってくる。」


窓から外へと飛び出した。


「行っちゃった。」


(天使様って、猫ちゃんとお揃いなんだな…)


天使の頭にはフワフワの猫耳が付いていたのが、少女には見えていた。



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こんにちは作者のノツノノです。


新作『猫天使』

完結までは既に考え終わり、書き溜めも16話分あるのである程度は安心して読んでいただけたら嬉しいです。


続くかもみたいな雰囲気はありますが、一応スッキリする終わりになってる、はずです!


大体18時〜19時辺りで、5話までは毎日更新

その後は2日に1回か、3日に1回更新となります。


フォロー、気軽にしてくれると嬉しいです


応援と星★も是非よろしくお願いします。




そうだ、プロローグこんな感じで大丈夫ですよね?

色々考えすぎて…うん……


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