5話 麗しの死神様の正体
「
「知らぬ。昨今の報道で人が全身から血を噴き出して死ぬと云う事件があるだろう。
其の異能力を持った者だ。
周囲の者からは”生ける死神“と云われている。」
「…
話を進めるにつれ、顔色が悪くなっている。
「如何かしたのか?」
真逆。そんな事有り得るのか?
マフィアの絶好の的じゃ無いか。
マフィアだけでは無い。
他の闇組織からは常に狙われるぞ。
今報道に上がっている故、彼女の知名度は鰻登りだ。
あの凶悪犯がこんなにも儚い少女だっただなんて。
何と云う名前だったか。
信者らしき者が1人此処に来た事がある。
既に死にかけで助かる見込みは無かったから、直ぐに死んでしまったが。
信仰対象を怨みながら、確かに云っていた。
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「せんっ…せい…。助けて…下さい…。
あのお方に…やられ、ました…」
「大丈夫かい?此方に来なさい。
あのお方とは…誰の事かな。」
「生ける…死神……。」
そうだ。名前は
「折口… 信夫……。あの方は…視界に入れただけで……
生物の命を奪う。」
_______________
森医師が考えている間、淡々と眠る彼女を見ていた。
顔だけでは如何しても死者に見える。
胸が上下に動いているからやっと、生きている事が判る。
こんなにも儚く脆い存在に出会った事がなかった。
「思い出しました。彼女の名前は
異能力”死者の書“。
視界に入れただけで生命を奪う異能です。」
「…!」
「…政府に見つかれば良くて監禁。
最悪の場合、欧州の方に…」
「特一級危険異能者以上に相当する…か。」
何て事だ。
やり直そうと決心した矢先、政府に見つかってはならないなど…途轍もない難題だ。
特に異能特務課。
奴等は何時何処に居るのか、眼があるのか判らん。
「如何しますか?福沢殿、貴方なら判る筈です。
折口さんを政府に突き出せばとんでも無い程の報酬が。隠せば見つかった時の罰がどれだけ降りるか。
貴方には想像が付くでしょう。」
「……。」
如何すれば良い。
報酬なんて如何でも良い。
唯、彼女がやり直そうとしても、最初から折られては意味が無いんだ。如何したら…。
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