銀狼は死神様と共に。
Lemonade
1話 死神様
「死神様、今日も、お願い致します。どうか、此の者たちを、堕としてください。」
「…。」
扉が閉まる音が聞こえた。
大勢の人が騒つく声が部屋に響く。
目を開く。
視界に入った者達は、全身から血を噴き出して
死に至る。
此の薄暗い部屋で何年、こうして来たのだろう?
私は、こんな事がしたいなんて
望んでいたっけ。
涙を流す。
それしか私の想いは出せない。
感情なんて、この薄暗く血生臭い部屋に持ち込んではならないのだ。
だから、わからないんだ。
どうしたら良いのか。
わかんないんだ。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………。
誰か、私を斬ってくれたら。
誰か、私を殺してくれたら。
誰か、私を堕としてくれたら。
それで私の罪を少し償える。
誰か、此の下らない、腐った屑の命を
止めて下さい。
私を堕として下さい。
________________
或る日
「死神様、今日も、お願い致します。どうか、此の者達を、堕として下さい。」
「……。」
扉が閉まる音がしたら、目を開く。
一瞬で全てが赤に染まる。
生存した者は居らず、誰もが生物から物体となる。
目を閉じる。
唯ひたすら、その場で、また明日を待つ。
明日が変わる事を祈りながら。
あわよくば、今日、変わる事を祈りながら。
今日が本当に変わるなんて、思っても居なかった。
「今迄、大勢の人が死んだ。
貴女が、殺して来たのだな?」
「……!」
知らない男性の声だった。
何か、金属の音と血が滴る音ががする。
一筋の光が差し込んだようだった。
私が、望む道に進める気がして。
私が、償える日が来た気がして。
嬉しくて仕方なかった。
「…って………。」
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