第6話



糸目の話を無視しながら神社前まで戻ってきた。


「歩斗!今から30秒稼いでくれ!」


ディアンがゲート前まで走って向かう。

30秒稼ぐって言ってもどうすればいいか。


「お兄さんを見れば見るほど気になるねー?」


「そのお兄さんって辞めてくれないか、俺は神崎歩斗って言うんだ。」


「神崎…歩斗ねぇ」


「お前はなんて言うんだよ!こっちが名乗ったんだから俺にも教えてくれないか?」


糸目は何か考えているのか顔を傾ける。


「名前かぁ…そうだな、それじゃあイナリとでも呼んでくれて構わないよ神崎くん」


イナリと名乗った糸目は扇子からまたもや投擲物を出して攻撃の準備を始めた。


「お互い名乗って神崎くんとは仲良く出来そうだと思ったんだけどそのゲート見られちゃったから殺すしか無いんだよね?ごめんね」


イナリの投げた投擲物は右肩と右太ももを狙っているのが直感的にわかり身体を後ろにひき躱す。


「さっきまでとは違い不自然な避け方じゃなくてちゃんと避けられちゃったな…神崎くんの事すごい気になるねぇ?」


「イナリは何でこんな事するんだよ!死んじまったらどうすんだ!」


「んー、そのゲートを知ってる者がいると困るんだよねぇ…」


首を傾げながら返答するイナリ。


「だからって殺そうとするのあんまりだろ!」


「僕だって面白そうな神崎くん殺すのはもったいないって思うけど命令だからねぇ」


イナリとできるだけ話しながら30秒経つのを待つ。

こういう時に限って時間が経つのが遅く感じる。


「お話はそろそろ終わりにして倒されてくれない?か・ん・ざ・き・くん?」


「死ねって言われて死ぬやつがどこにいるってんだよ!」


イナリは扇子を上に投げたかと思うとイナリの後ろに宙に浮く複数の投擲物 。


「神崎くんはこれで倒してあげる。来世にでもまた会おうねぇ」


6本の投擲物が俺に目掛けて飛んでくる。

最初の2本は先程同じで右肩と右太ももだと思ったので同じ避け方をする。


「歩斗!ゲートが安定した!走ってこい!」


3本目が向かってくる途中にディアンからゲートが安定したと聞きつけゲートに向かって走り出す。

3本目は先程避けた所に飛んできていたので避けれた。

4本目は走ってる後頭部目掛けてきたので頭を下げて躱す。


「神崎くんは避けるのが本当にうまいねぇ。でも次の2本で決めるよ」


イナリは2本同時に投げてきた。


ブスッ


「ぐはぁっ!」


1本目を避けれたけど避けた方向に目掛けて2本目が飛んできた。

2本目は右肩にぶっ刺さる。


「はぁはぁ…イナリぃまた会おうぜ」


投擲物を喰らいながらもゲートにディアンと飛び込む。


「はじめて倒せなかったなぁ。神崎歩斗くんねぇ覚えとくよ?」



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