ネトゲで求婚してくる二人組は学校でも有名な美人双子だった件。現実ではいつも悪態をついてきていたのに、オフ会をしてから急にデレてくるようになったんだが!?
鳴子
第1話 ゲーム内の結婚
ルーナ:私と
マール:私と
ルーナ:結婚してください!!
マール:結婚してください!!
辺り一面が見渡せる厳かな雰囲気の丘の上で、黒髪の頑丈そうな鎧を装備した男に結婚を申し込んでくる美少女二人。
そんな光景を前に、俺はパソコンの前で呆然としていた。
カプリス:どうして俺なんか……
驚き過ぎで少しの間戸惑っていたがふっと我にかえり、そうチャットを打つ。
俺が今しているゲームはフェアリーテイルオンライン、通称FTOだ。FTOは二年ほど前からサービスが開始され、その膨大なキャラメイクと、グラフィックの綺麗さから一躍人気になったMMORPGである。
サービス開始から二年ほど経った今は人気は落ち着いているものの、それでもプレイ人口は多い。そんなFTOに大型アップデートが来たのだ。
その主な内容は結婚システムの追加だ。好きな相手一人だけと共に結婚をすることによって様々な機能が使えるようになる。
サービス開始から始めている俺には知り合いが沢山いるものの、そんな相手なんて居なかったし、ゲームの中とは言え周りにリア充ができるなんてクソ喰らえとか思っていた。
そんな中アップデートからダウンロード地獄を経て、ようやくログインをしたところで俺は二人の美少女に呼び止められた。
そしてFTOでも屈指の絶景スポットへと連れてこられたのである。
ルーナ:カプリスさんだからいいんです!
マール:私たちはカプリスと結婚したいの!
「そんなこと言われてもなぁ」
ルーナとマールは一年以上の仲で、よく狩りにも行っているし、何気ない雑談もする。
二人といれば落ち着くし、何より容姿が可愛い。
ピンクの腰近くまである長い髪で、長い耳を持ったエルフタイプの容姿のルーナ。
こちらもエルフタイプでピンクの髪、しかし髪は短くルーナと間反対の印象を与えてくるマール。
嬉しいはずの二人の結婚の申し込み。
しかし俺は頭を抱えていた。
カプリス:結婚できる相手は一人だけだぞ。俺がどっちか選べってことか?
マール:えっ? 一人しか無理なの?
ルーナ:初めて知りました
カプリス:あのなぁ……結婚を申し込もうと思うんだったら、そういうところはちゃんと読んどかないと
俺は呆れながらも説明をする。そりゃあ俺もできるなら結婚はしたいけど、片方を断れば相当気まずいことになる。
マールとルーナは双子かと思うほどにいつも一緒にいるのだ。そんな二人の仲を切り裂くようなことはしたくない。
俺の説明を聞いてチャットが数分間落ち着き何も流れなくなった。
カプリス:俺にはどっちかを選べなんて、そんなこと出来ないし今まで通りでもいいだろ?
そんな静寂をかき消すかのように言葉を発する。
ルーナ:そうですか……
俺の説得にルーナはわかってくれたかと思った。ルーナはいつも物分かりがいいやつだからな。
そう思っていた時期も俺にはありました。
ルーナ:そんなことで諦めれる訳ありません!
カプリス:へっ?
マール:そうよ! 結婚ができるってわかった時からずっと待ってたのよ!
マジかよ。アップデートの内容なんて一ヶ月くらい前からは発表されてただろ。どんだけ結婚したかったんだ。
カプリス:そう言われてもなぁ。そりゃあどっちかだけだったら、俺もいいんだけど……
ルーナ:本当ですか!?
カプリス:あ、ああ、そうだな。
チャットでもわかるほどの勢いに俺は圧倒されていた。
「ルーナってこんなに積極的だったのか?」
そんなことを思いながら、ルーナとマールの返信を待つ。
ルーナ:なら私たち三人でギルドを組みませんか?
カプリス:ギルド? なんで急に?
マール:そう! まだどっちがいいか決められないなら、私たちのことをもっとわかって貰えばいいのよ。それで決めてもらうの
ルーナ:カプリスさんも今は無所属ですよね?
カプリス:まぁそうだけど
ギルドというのはFTO内でのチーム結成のようなものだ。ギルドメンバーだけのチャットなどが出来るようになる。仲のいいメンバーで組むものからランカーだけのギルドなど種類は多い。
カプリス:俺は絶対に組まないぞ!
マール:どうしてよ!
カプリス:なんのいざこざがないなら二人と組むのは問題ないが、そんなの組んでも無駄になるだけだ!
ここでギルドを組んで変に問題が起きたらめんどくさい。俺はあくまでもゲームは楽しみたい派だ。
俺は頑なに断ることに決めた。
ルーナ:それはやってみないとわかりませんよ
カプリス:だーかーらー、俺は絶対に決めれないしギルドにも入らないぞ!
これがちょうど一年前。
カプリス:俺はなんでこんなところで二人と話しているんだ……
俺が今いるのはギルドハウス。そしてギルドチャットで話している相手はもちろん
ルーナ:どうかしました?
マール:何言ってるのよ
俺に求婚してきた二人だった。
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