第106話 面会 前篇
「君のご両親に?」
アコちゃんが両手を合わせて僕にお願いをする。
「そうなの、急にごめんね。フレディとの事でどうしてもお父さんに頼みたいことがあったから電話したの…そうしたら今日こっちへ来るって…」
お父さんに頼みたいことって一体何だ?
それも知り合ってこんなに急に逢いに来るなんて…
女の子が友達になってくれて浮かれてたけどこれって普通の事なのか?
初めてで…どうしたらいいんだ?
まさか…アコちゃんに限ってそんなことはないと思うけど…
本当は僕となんて実は友だちになんてなりたくないのに、それが言えなくてお父さんに断ってもらおうと呼んだんじゃ…
彼女の顔を見ると、いつもの無邪気な様子で僕を見つめている。
「判った…会うよ」
僕は無理に笑顔を作って答えた。
「よかったぁ!断られたらどうしようかと思っちゃった!」
彼女は胸に手を当てて安心した顔をしている。
逆に僕の方は不安で胸が潰れそうだ…
「おい!どう云うことなんだ!」
「えっ? マックス? どうしたの?
今フレディと話してるのにぃ…」
「どうしたもこうしたもねぇ!なんで両親なんかに会わなきゃなんねぇんだ!」
マックスは声を荒げて吾古に詰め寄った。
「そんなの当り前じゃない!男の子のお友だちなのよ!
ちゃんと両親に紹介するのなんて普通じゃない!」
吾古も負けじと嚙みついた。
「そ…そうなのか…?」
思いがけない吾古の反撃にマックスはたじろいだ。
「何考えてるのよ!ウチのちぃ兄だって彼女が出来たら必ず挨拶してるって云うのにしっかりしてよね!」
「お…おう」
マックスは年下の吾古に圧倒された。
「判ったら早くフレディと代わってよ!
それとキースにもちゃんと伝えといてよね!お父さんたち来るの午後なんだから…」
「判った、判った」
少しの間をおいてフレディが戻ってきてくれた。
「ア…アコちゃん…」
「よかったぁ!フレディだぁ」
今にも飛びつきそうな勢いで嬉しそうに笑う彼女を見て、フレディの胸は高鳴りが止まらない。
今まで好意的に見られたことなんてない…
アコちゃんのお父さんから何を言われるか凄く不安だけど…
こらからも友達でいたいことを一生懸命話して判ってもらおう。
僕はこれからもアコちゃんと付き合って行きたい。
こんな気持ち初めてなんだ…
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