一話②

 鷲啼山わしなきやまの山腹よりやや高所。

 それなりに険しい山肌に、ぐにゃりぐにゃりと曲がりくねった竹のような植物が群生している。その近くに降り立った素楽そらは、腰に帯びた鉈の安全具、飛行中にすっぽりと抜けて落ちないようにする留め具を外し、なたを手に持って竹林を分け入る。


 今春は、この竹林に幾度か入って春の子を採取しているので、今まで通った踏分道を進む。足元に注意を注いで歩けば、成長しすぎた採取には適さない春の子が、あちらこちらで目に入る。晩春ということもあって、旬が過ぎ去ろうとしているのだろう。


 四半時さんじっぷんも竹林を練り歩き、ようやく地面から可愛らしい頭をだした春の子を見つけたようだ。腰にいくつか括り付けられた腰袋の中から、地面を掘るためのヘラを取り出す。そのままでは入らないので、頭と柄が別々になった組み立て式のものだ。

 春の子の周囲にある土を掘り起こし、地下茎が見えればヘラを根本に刺して、石で何度か打ち付けて採取する。


「ふー、まずは一本」

 必要数は三つ。同じことをあと二度繰り返す必要がある。とはいえ手慣れた様子なので、陽光が真上から差す頃には終えることができるだろう。


 この春の子と呼ばれる植物は竹の若芽である。ただし、一直線に伸びることのない、ひねくれ竹の若芽である。このひねくれ竹は険しい山肌や、人の立ち入るには難のある場所にしか生えないため、精魂もひねくれてるなどと言われるほどだ。特に山肌に生えたものは、花を咲かせると枯死した後に地滑りまで引き起こすのでたちが悪い。


 そんなひねくれ竹の若芽こと春の子は、タケノコとは変わった味わいと上品な香りから、一部の愛好家に好まれている。今回もそうした愛好家が、旬が終わる前にと依頼を出したのだろう。

 パコンと小気味よい音を立てて、三本目の春の子を採り終える。春の子掘りが上達したのだろう、時刻は正午よりは前である。


(ここでお昼にするには足場が悪いかなー)

 ひねくれ竹の特性の例に漏れず、この竹林も足場が悪く落ち着いて休めるような場所ではない。そんな訳で素楽は進んできた踏分道を戻り、竹林を後にした。


 やや移動して、イイカンジの岩場に腰を落ち着ける。実際に座ってみると、ゴツゴツしていてあまりイイカンジではなかったようだが、そんなものだろう。

 腰袋から朝方に購入したミートサンドを取り出す。


「いただきまーす!」

 ぐう、と腹の虫が空腹を訴え始めたので、包みを剥がしてミートサンドを食む。どうやらこちらはチーズの入ったものらしく、店主がおまけをしてくれたのだろう。


(チーズ入りもいいねー)

 ぱくり、ぱくりと小さな口で頬張り食べ進めれば、いつの間にか包みは空となっており、素楽の腹は満たされている。包紙を小さく折りたたんで腰袋へと放り込む。


 腹が膨れ、心地の良い涼し気な風に撫でられれば、気分も良くなるものだ。素楽はどこの楽士が歌っていたかも定かでない歌を口遊くちずさむ。歌句があやふやなので、ふんふんと誤魔化すような鼻歌が交じるのはご愛嬌だろう。最後には原曲とはなんのやら、即興の歌へと変わってしまっていた。


 そんなひと時を過ごしている素楽に、大きな影が落ちる。なんと、大きな大きな体躯をした生き物が彼女を見下ろしているではないか。


 前半身はわし、後半身は獅子ししをした生き物で、姿の通り鷲獅子わしじしと呼ばれる種だ。見下されている素楽など取って食われてしまいそうなものだが、温厚で賢い生き物なのでよっぽどのことがなければ襲いかかってくることはない。はずだ。


 白頭の鷲獅子は、歌いやめた素楽を見て首を傾げる。素楽が見つめ返していると、彼は困ったような動きをしてから、歌うような鳴き声をあげる。


「なるほど、歌に誘われて来たんだねー。それじゃあもう一曲」

 こほん、と小さく咳払いをして素楽は、先程とは違う歌を口遊む。白頭の彼は気に入ったようで、素楽を囲うようにして腰を下ろし、尾を揺らしながら歌を聞き入るのであった。


「――ご清聴、ありがとうございました」

 素楽が視線を向けて微笑むと、白頭の彼も満足したようで頭を彼女に擦り付けて甘えるような仕草をする。


 ひとしきりじゃれ合った後、素楽が立ち上がり別れを告げれば名残惜しそうな表情を見せた。仕事がある、と伝えてみれば納得をしたようで、一度伸びをして飛び去っていってしまった。なんと自由な鷲獅子だろう。


 朱い翼を作り飛び立とうとすると、白頭の彼が腰を下ろしていた場所に大きな風切羽根が落ちている。換羽で落ちたものだろうが、ささやかな贈り物のように見えた素楽は風切羽根を拾うことにした。


(髪飾り、には大きすぎるね、兜飾りみたいになっちゃうな。…今度考えればいいかー)

 風切羽根の加工に思いを馳せながら、次の採取へと羽ばたくのであった。


―――


 山の一角にツル状の植物が占領している。その茎に垂れ下がっている豆の莢を、袋に詰めていけば高豆の依頼は終わりである。


 最後になるのは枝鹿木しかもくという樹木の花だ。こちらも翼をもった素楽であれば難はない。のんびりと翼を広げて、上昇気流に身を任せて高度を上げてゆく。


 この三つの依頼、同時に熟すには難の多いものだ。

 三格として扱われていたのも、比較的険しい山を登り採取する必要上がるからである。一応のところ鷲獅子が出没する、という部分もあるのだが今現在は繁殖期ではなく、鷲啼山に里を構えている翼人と共生関係にあるため、依頼の格とは無縁といっても問題ないだろう。


 気流に任せて素楽が飛んでいると、真っ赤な花を目一杯に付けた樹木を見つける事ができた。山肌は安全な足場と呼べる場所は少ないので、ゆっくりと速度を落として着地する。


 枝鹿木に近づくと糖蜜と酒精のような香りが素楽の花を優しく撫でる。彼女は足元に注意しながら枝鹿木に歩み寄る。この植物は花を咲かせると内部から蜜液をだらだらと垂れ流すので、気をつけなければ蜜液で足を滑らせて滑落することがある。故に注意深く足元を見て進むのだ。


 腰袋から硝子瓶を取り出して、その中に花と蜜を採取し花の蜜漬けを制作する。依頼自体は花の採取、と書かれていたのだが、補足に花の蜜漬けにしてくれれば、追加で報酬を支払うとの記載があったのだ。


 枝鹿木の花蜜漬け。何に使用するのか素楽はわからないのだが、報酬が良いので一瓶作成しキツく封をする。戻る最中に蜜が漏れたら大変だ。

 腰袋に瓶を仕舞い、控えの依頼紙を読み直して不備がないかを確認する。春の子三つ、高豆一袋、枝鹿木の花蜜一瓶、問題はないだろう。


(よし、これで依頼は終わりだねー。さっさと帰って報告しなくちゃ)

 帰ろうと思い立ったその時、ビュウと強風が吹きすさむ。強風が吹いたところで、素楽が飛ばされる、なんてことにはならないのだが、立っていた場所がよろしくなかった、非常に。

 風上には蜜液をだらだらと垂れ流しにしている樹木がある。強風によって弾けた蜜液が、飛沫となって素楽にかかることとなってしまったのだ。


「……うわぁ」

 先程までの、仕事が終わって帰るだけの良い気分、は台無しで身体からは甘ったるい匂いに包まれている。ちょっと木に近づいて嗅ぐくらいであれば丁度よいのだが、こうなってしまえはうんざりする他無い。なんなら仄かにする酒精の匂いのせいで、飲み明かした酔っぱらいのようである。


「…湯浴びしたいなー」

 甘ったるい匂いの素楽はひとりごちる。


―――


 バサリ、バサリと羽ばたき帰路につく素楽の耳に、微かに笛の音が届く。

 翼人が用いる音の信号で、助けを求める音色であった。誰かが危機的状況である、ということを察した素楽は音の発信源を探るように空中を旋回する。何度か聞くことで場所を割り当てた素楽は、翼を翻して発信源へと進んでいく。


 木々の影響で対象の目視は叶わないので、だいたいの当たりをつけて素楽は降り立つことにした。魔力で作られた魔翼、ということもあって枝葉に翼を打ち付けたところで被害はない。翼人であれば無理矢理な着陸を難なく行って、鉈で草木を切り開きながら笛の元へと向かう。


 誰かしらが素楽や翼人をおびき出すために笛を吹いている、という可能性も捨てきれなかったので、一応のこと警戒はしているようだ。襲いかかってくるのであれば、鉈で迎撃しつつ逃げる程度の心積もりではあるようだが。


 たどり着いてみれば、怪我をした老女がおり、素楽は警戒をといて走り寄る。

 縞模様のある翼と尾羽を持った翼人、鷲啼山にある縞尾の里しまおのさとの住人だろう。ひと目でわかる怪我は赤い滲みを作った翼と、布を巻いて止血している脚だ。


「…えっと大丈夫、ではなさそうですね」

「ふぅ、ようやく助けがきてくれたか。…っとお主はどこの子じゃ?」

「はじめまして、あたしは素楽です。住みは松野の街に」

「…ふむ、羽無しか。…わしはカシワというのじゃが、ちと鷲獅子に悪さしようとしてたバカ共に鉄槌を下してやろうかと思ったら、手痛い反撃をくらってしまっての」


 カシワと名乗る老婆は、どうやら跳ねっ返り婆さんらしい。素楽がほんの少し引きながら話を聞いていると、昼頃にあった白頭の彼を襲おうとしていた一団がいたらしい。数がいたのならば応援を呼ぶべきではないかと、素楽は考えたが口に出すことはなかった。


 鷲獅子に手を出すのは、この領地ではご法度である。殺めた場合は、首を落とされても文句を言える立場にない程に。


「そんなこんなで、縞尾まで行って癒法師ゆほうしを呼んできてほしいのじゃがな。頼めるかの?」

「いいよー。すぐ戻ってくるから無茶はしないでね」

「縞尾はあっちのほうじゃ、いてて」

 怪我をした腕で、方角を指したので痛みが走ったようだ。


「りょーかい。安静にしててね」 

 雑な指針ではあるが、飛んでしまえば見つけるのは難しくない。それに冒険者業をやっている都合上、街以外にも村や里の位置も掌握している。


 素楽が視線を上へと向けて、飛び立てるかを確認する。多少無理をすれば抜けれないほどであると判断し、彼女は羽を生やして飛び立つ。枝葉に邪魔をされ、全身に葉っぱを付けながらの離陸であった。


「…妖し羽あやしばねだったか、珍しいのう。助かるやもしれんな」

 羽無し、とは翼のない翼人の一種だ。飛行能力のない者であれば、助かるかは怪しいと諦め半分で頼んでいたカシワは、静かに息を吐き出し上空の翼人を眺める。


―――


 鷲啼山の中腹。緩やかな山肌には何軒もの家屋が集まった集落と、それを中心に棚田や段々畑が広がっている。縞尾の里である。

 里の中心部の広場へと、綺麗な軌跡を描いて着陸しすれば、見慣れない翼人が現れたと里の者たちが姿を現す。小柄な体躯から他所の里から迷い込んだ子どもとも思われているようだ。


「すみませーん!カシワってお婆さんが怪我を負っててー、癒法師を呼んできてほしいって頼まれましてー」

 予想は出来ていたが縞尾の里は大騒ぎになる。蜂の巣を突いたような、いや鳥の巣であろうか。


「大婆様、…カシワ婆さんが怪我をしたっていうのはホントかね?」

「本当本当。詳しい状況は聞いてないけど、鷲獅子に悪さをしようとしていた不届き者を懲らしめようとして、返り討ちにあったみたい」

「…そろそろ、自身の年齢を弁えてほしいのだが…」

 眉を曇らせた翼人は小さく呟くと、急ぎ笛を吹いて状況を知らせる。

[鷲獅子を狙う敵有り。大老が負傷。癒法師一人、戦士四人、急ぎ出立の準備を]

 大体のこんな内容の音信号だ。彼が吹き終わると、離れた場所から笛の音がいくつか返ってくる。自身の名前と了解の返答である。

「少し待ってもらうよ。準備はすぐに終わると思うけど」


 素楽が頷いて里の中を見物していると、野太い鷲の声とともに大きな羽音が聞こえる。視線を向けてみれば、鷲獅子の親子がこちらへと向かってくるではないか。彼らは広場へと降りると、小柄な方が素楽へと向かって走り寄る。昼間に会った白頭の彼だ。

 再開を喜んでいるのか、素楽の周りをはしゃぎ歩いたのちに頭を擦り付けて、小さく鳴いている。


「わわっ、さっきぶりだね。そういえば、綺麗な風切り羽根を落としてたけど貰っていい?」

 自身の羽根を拾ってまで持っていたことに気分を良くしたのか、その場で翼を羽撃かせて自然と落ちた羽根を咥えて押し付けてきたのだ。鷲獅子の風切羽根は縁起物だ。もらえるのならと考えたのだが、市井ではそこそこ値の張るものである。おいそれと貰っていいものなのかと、翼人に視線を向けてみればため息を吐き出して、どうぞと手振りで示させる。


「雪丸、この子が気に入ったのか知らないが、あまりしつこくすると嫌われてしまうかもしれないよ。すまないね、君のその白髪がお揃いだと、随分気に入っているようだ」

 白頭の彼は、雪丸という名らしい。頭部の綺麗な白色に由来するのだろう。鷲獅子と友達だなんて光栄、と告げて彼のくちばしを素楽が撫でると、気持ちよさそうに目を細めている。


 そうこうしている間に救出の準備は終えたようで、武具の点検や点呼を行っている。

「よし、それでは大婆様の元へと向かう。案内を頼めるかな」

「任せてよ」

 素楽は腰袋から笛を取り出して、数度息を吹き込んで音を縞尾の里人に知らせる。音を混同しない措置だ。雪丸も自信満々と思われる表情で視線を向けていることから、彼も音を覚えたのだろう。

 どうやら翼人たちと共に鷲獅子の親子も同行するようだ。親の鷲獅子は警戒色を露わにしながら、眼下の山肌を鋭い瞳で見回している。


 先行していた素楽は、カシワのいる上空でくるくると旋回して、笛の音で真下にいると示した。


―――


 彼らにも下りられそうな地点に降りた素楽は、鉈で枝を払いながら踏分道を作ってゆく。そこまで木々が密集しているわけではないのだが、通常の翼人というのは翼が邪魔となるので、なるべく余裕を持った道作りを行う。彼らが街で暮らさずに、固有の里で生活を行うのも翼が原因の一つである。人の街は彼らにとっては狭いのだ。


 素楽が先導しカシワの元へとたどり着くと、彼女の顔色は土気色になっており呼吸も荒くなっている。意識はあるのか一行へと視線を向けると、口を動かしている。

 急いで急いで、とまくしたてると癒法師は慌てた様子で、怪我の状態などを診る。


 癒法師は指先に魔力を集め、薄い色彩をした魔力の炎を作り出す。その炎が揺れる指で、カシワの患部に文字と記号を書き記す。これは魔法陣や魔法式と呼ばれる技術だ。


 書き終われば指先の炎を擦り合わせるようにして消す、すると陣に光が灯り傷口がふさがっていくのだった。見事な治癒魔法である。

 癒法が上手くいったようで、一同はホッと胸をなでおろす。もう少し遅ければ、カシワの命が危うかったと癒法師が呟いていたからである。


「妖し羽の君、今回は本当に助かったよ。君がいなかったと考えるだけで肝が冷える思いだ。名前を伺ってもいいかね?」

「素楽だよ。赤羽とも呼ばれてるねー」

「素楽殿か、改めて感謝する。もし貴殿が困ることがあれば縞尾にくるといい、我らの力を貸そう」

 翼人の男は胸に手を当てて跪く。護衛と癒法師もそれに倣う。


「…はぁ、楽になったわい。もう其奴にいわれてしまったがの、ワシらは同胞はらからへの協力はおしまぬ。簡単なことでも頼るがよい」

「何かあったら頼るねー。…あーうん、また縁があるだろうね」

「ん?まあよい。たしか松野の民だと言っとったな、ならばそろそろ帰らぬと日が暮れてしまうぞ。泊まっていってくれてもいいがの」

 そう、青かった空は徐々に徐々に赤みを帯び始めているのだ。これ以上の長居をすれば、街につく頃には真っ暗になっているだろう。


「そうだった、早く戻って納品しないと!じゃあねー!」

 手を振って飛び立とうと翼を出すと、雪丸に道を阻まれる。その後、鳴き声を出すと大きな翼で素楽を覆い隠そうとする。帰ってほしくないのだろう。


「雪丸、我儘わがままをいうでない。そろそろお主も大人にならんか」

 動物を拾ってきた子どもと、それを叱る親のような構図である。雪丸は何度か抗議の鳴き声、のような声をあげてみたものの、最終的にはしゅんとして道を空ける。


「よしよし、あたしも仕事があってね。またいつか遊びにくるよ」

 嘴をゆったりと撫でてから、素楽は飛び立っていった。


―――


「里に戻ってから話をする。お主は先行して皆を集めておいてくれ」

「承知しました」

 翼人の一人に指示をだして、カシワは親鷲獅子の背に跨る。本調子ではないので、下手に飛行などすれば墜落する可能性があるのだろう。


「これ雪丸、そうしょぼくれるでないわ。ワシの記憶が正しければ、近い内にまた遭うことくらいできるわ」

 里の広場に集まった面々を見て、カシワはため息を吐き出してから口を開く。


「賊が現れよった、狙いは鷲獅子かワシら翼人じゃろうな。純人すみびとのあれやこれやなどはわからんが、どこかのバカ貴族の手のものじゃろう。皆の者、しかと警戒するように」

 言葉の内容に里の民は声を上げて騒がしくなってゆく。自分たちの身の危険なのだから当然だろう。


「静かにせい。天と地、双方の里守は村の周辺警戒の強化を、特に地の、獣人系の者は常に動けるようにな。シャクナゲ、シャクナゲはいるか?」


「はい、おばあさま。シャクナゲはここに」

 見目麗しい翼人の妙齢女性が現れる。尾羽には縞模様がある。


「シャクナゲ、お主は冒険者組合と城に情報を持っていってくれ。尾羽根を見せれば縞尾のものだとわかるであろうが、里印も持っていくといい」

「承知しました」

「……冒険者組合はわからぬが、城には先んじて情報が入ってるやもしれぬ。…こちらからの言葉もほしいじゃろうな。夜は街に宿泊してから、明日の昼間に帰ってくるようにな」

 一度頷いたシャクナゲは、里印を取りに飛び去ってゆく。


「よし、お主ら警戒を怠らぬようにな。ワシは、暫し休む故」

 縞尾の民は、三々五々と散っていく。各々の役割を熟すためにだ。

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