俺様がニートになったきっかけ。
――道を歩けば、だれも俺のことを指を差して笑った。我ながらに子供の頃、それで傷ついて、けっこう悲しかった。ついでに名前のせいで、同じ子供からもバカにされた。
小さい頃は、自分の名前がたまらなく嫌で、恥ずかしくてしょうがなかった。勇者アルスの名前をつけられた俺は、いつも周りから比較されてはバカにされて、伝説の勇者の名前とは遥かに遠かった。
どんな頑張っても、何やっても無理だった。悔しくて、周りを見返そうと頑張れば頑張るほど、それが裏目にでた。勇者のオーラもなければ、運動神経も鈍く、技や、スキル、魔法、剣技も、何一つうまく行かなかった。
街を歩いても、どこにいても、耳を塞いでも、どこからともなく、大人や子供は、俺の名前をバカにして、悪口を言ってはゲラゲラと笑っていた。
極めつけは、両親の喧嘩だ。いつも喧嘩の原因は俺のことだった。父ちゃんにとって、俺はただの恥ずかしい息子でしかなく、母ちゃんにとっても、恥ずかしい息子でしかなかった。兄ちゃんも姉ちゃんも、俺のことが恥ずかしく、周りには弟は居ないとまで嘘をついていたらしい。それがさらに悲しかった。そして、俺は周囲や、家族からも、家の中では孤立した。
ある日、働ける年頃になった時。勇気を出して仕事探しに面接に行った。そしたら見事に面接係の人にバカにされた。「勇者様は、魔王を倒すのが仕事でしょ? 君に普通の仕事なんてあると思ってるの?」その一言に俺様のハートは木っ端微塵に砕かれ、ひび割れて粉砕して粉々になって、俺の人生オワタ/(^o^)\の称号を手にした。
はじめて行った面接先で大敗退した俺は、もうこうなると何やってもダメなんだと思いキッパリと諦めた。そして、15歳からずっと23歳の今日に至るまで、ずっと引きこもりニート街道をまっしぐらに突き進んでいた。そんな俺の唯一の楽しみは、パソコンと、ネット仲間とのチャットだり、ネットゲーだった。
別にこの歳になると、現実の住人と仲よくしたいとか、話したいとか、遊びたいとかもおもわない。パソコンと、ネット仲間がいれば十分だった。他に欲しいものなんてない。強いてば言えば、来月発売予定の新ガチャと、人気のアバターくらいだ。俺は自分の部屋からは出ない。自分の部屋こそが世界の中心だ――!
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