第149話 一時帰還と次の戦いのための準備
俺には空間跳躍というユニークスキルが存在する。
そのスキルには自分だけなら格安で転移が可能という特性があった。
だがそれでも流石にアメリカから日本という太平洋を横断する距離の転移に必要なMPはかなりのものであり、これまでの戦いでランクが19まで上がった俺のINTの数値でもそれを満たすことはできなかった。
だからこそ聖樹の転送機能を使って帰還したのである。
(回収した魔石とかでポイントは結構稼げているし、そろそろINT上昇のレベルは最大まで上げておくか)
日本やアメリカでダンジョンを消滅させた際、そのダンジョンの影響下にある魔物の魔石は自動的に回収される。
更に特典として一つの聖樹を設置すれば十万ポイントが付与されることもあり、蘇生スキルのような桁外れのポイントを要求されるスキルでもなければ、一つくらいならスキルのレベルを最大にしても問題ないくらいのポイントを俺は保持していた。
となれば無限魔力を最大限に活用するためにも、ここでINTを出来るだけ強化しておくのは悪いことではないだろう。
それで魔闘気の出力や持続時間も強化できる訳だし。
(今のところ戦闘面での不安はないけど、この先もそうであるとはとても思えないからな)
世界中で暴れ回っている魔物はゴブリンやオーク、それにトレントのような、こう言ってはなんだが、厄介ではあってもあまり強いとは言い切れない魔物ばかりだ。
だからこそ今の俺でもどうにかなっているのだが、それに胡坐をかいてなどいられない。
敵側だって俺達が日本を離れて行動し始めたことを、いずれは掴むだろう。
そうなった時に何かを仕掛けてくるに違いないし、緊急事態にも余裕をもって対応できるようにしておかなければ。
蘇生スキルを手に入れることを考えればポイントを無駄にすることはできないが、それで俺が死んでは元も子もない以上、これも必要経費と割り切るしかない。
そう考えた俺は、ここでポイントを消費し尽くしても所持しているスキルを強化することを決定する。
『真咲 譲 ランク19
HP 150/150
MP 0/0
STR 145
VIT 128
INT 230
MND 132
AGI 151
DEX 146
LUC 117
ユニークスキル 無限魔力 魔力譲渡 界渡しの灯 空間跳躍
1000Pスキル
念話レベルⅩ
3000Pスキル
HP上昇レベルⅢ・STR上昇レベルⅢ・VIT上昇レベルⅢ・INT上昇レベルⅩ・MND上昇レベルⅢ・AGI上昇Ⅲ・DEX上昇レベルⅢ・LUC上昇レベルⅢ・身体能力強化・レベルⅡ
5000Pスキル
超聴覚レベルⅤ 魔闘気レベルⅤ 生命探知レベルⅤ 氷結魔法レベルⅤ 超嗅覚レベルⅤ 危機感知レベルⅤ 回復魔法レベルⅤ
10000Pスキル
インベントリ・レベルⅤ
保有ポイント 5680P』
これまで地道に溜めていた魔物の魔石などもほぼ全てポイントに変換した上でINT上昇をレベルⅩ、それ以外のステータス強化をレベルⅢまで引き上げる。
更にそれ以外のスキルに関してもレベルⅤになるように強化しておいた。
おかげで所持ポイントはかなり厳しいものとなってしまっている。
(でもそうした甲斐はあったはずだ)
複数の感知能力もかなり強化されたし、危機感知もレベルⅤになっているのだ。
これなら敵に不意を突かれることもないだろう。
単純な戦闘面では、INTが上昇したことにより魔闘気の能力がかなり強化された形となっている。
なにせ最大で230ものステータス上昇するのだから。
これなら余程の強敵でもなければ対応できないということもないはずだった。
なお、新しいスキルを手に入れることも一度は考えたが、それは新しい施設である訓練場で色々と確かめてからの方が良いだろうと判断した形だ。
だからこそ今回は使い慣れて効果が判明しているスキルを強化しているのである。
「さてと、まずは先生に御神石を渡さないとな」
聖樹の中で邪神陣営に奪われるとは思えないが、こんな重要な物をいつまでも持っているのは宜しくないに決まっている。
先生にも念話で既にサファリスから聞いたことは伝えてあるので、俺はすぐに転移を発動して転送の間から先生の下へと向かった。
「うむ、確かに預かった」
そうして救護施設で休んでいた先生に特に問題もなく御神石を託し終える。
「確か解析にはそれなりの時間が掛かるんだったか?」
「いや、ルビリアの御神石の経験があるおかげかのう。以前ほどの時間は必要なさそうじゃ」
集中すれば一時間も掛からずいけそうとのことなので、それならば俺は解析が終わるまで待っていることにする。
聖樹に追加される特別な機能とやらが今後の俺達にどういう影響があるのか早めに把握しておくに越したことはないだろうし。
「それなら解析している間に一鉄に会ってくるといい。製鉄炉のおかげで、お前さん達用の新しい武器を作ったそうじゃからの」
「おいおい、一鉄にはそうしてもらおうとは思ってはいたが、それにしたって随分と早いな」
製鉄炉が解放されてからまだそう時間は経っていないというのに、まさかこの短時間で武器の作成まで完了しているとは想像してもいなかった。
「なに、本来ならお前さん達がアメリカに向かう前に完成させるように言っておいたんじゃが、それは材料不足とかで間に合わなかったらしくてのう。ただ今回の製鉄炉のおかげで、ネックだったその問題が解決したとのことじゃ」
アイデアや設計は考えてあって、残りはそれを実現可能にする素材を集めるところだったってことか。
何にしてもこれからの戦いのために強力な装備は幾らあって困ることはない。
「分かった、一鉄に会ってくるよ」
「うむ、それがいい。今の時間なら居住区で生産職の弟子に指導をしていることじゃろうて」
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