第25話 敵地への侵入のために

 魔物の居城と思われる国会議事堂。


 そこに侵入するためには門番をしていたオークナイトをどうにかする必要がある。


(入口以外からこっそり入ろうにも、あの距離でも視線を察知する相手が見逃してくれるとは思えないからな)


 入口以外の窓などから入るケースも想定してみたが、どうやっても見つかる気しかしない。


 となればあの二体の門番を倒して入る以外に道はないだろう。


 オークナイト二体ならどうにかなると思う。問題はその後だ。


(建物内に感じた強敵の気配をオークキングと仮定して、それを倒せるように準備はしておきたい)


 転移があるのでいざという時は撤退するつもりだが、出来れば敵がこちらの情報を得ていない初回で倒し切ってしまいたい。


 転移で逃げれば敵もそれを想定して罠を仕掛けたり、逃げられないように対抗手段を講じてきたりするかもしれないので。


 そのために最も必要なのはランクアップやポイントを使用して、ステータスやスキルを充実させることだろう。


 特にINTに関しては無限魔力の効果を十全に発揮するためにも上昇させるのは必須事項に他ならないのだから。


 となればやることは一つのみ。


 毎晩復活するというオークとゴブリンを最優先目標と定め、東京周辺を捜索しながら狩りまくって経験値と魔石を乱獲することだ。


 そうして目的の力と物を手に入れるのである。


 そう決意してから三日ほど、時折グール捕獲のためか偵察任務らしき行動をしている自衛隊と遭遇しないように気を付けながら狩りを続けた結果、


「ようやくランク7か。やっぱりランクが上がるごとに必要経験値らしきものも上昇してるな、これは」


 遂にボスに挑んでも良いと思える状態になった。


『真咲 譲 ランク7

HP  56/56

MP  0/0

STR 37

VIT 33

INT 111

MND 38

AGI 59

DEX 48

LUC 27

ユニークスキル 無限魔力 魔力譲渡 界渡しの灯 空間跳躍

スキル インベントリ・レベルⅠ 身体能力強化・レベルⅡ INT上昇・レベルⅥ 念話レベルⅣ 超聴覚レベルⅡ 魔闘気レベルⅡ

ジョブ 帰還者

保有ポイント 100260P

ショップ』



 この三日間で稼げたのは約十万ポイント。


 その手に入れた内のほとんどを使って俺はINT上昇のスキルをレベルアップさせていた。


 これから強敵と戦う以上、魔闘気という切り札は必要不可欠。


 ならばそれを長く、そして強くするに越したことはない。


 ただランクアップによるステータスはランダム要素なので仕方がないが、俺が望んでいたINTよりもAGIやDEXの方が上がった形だ。


(それでもINTの上昇率も悪くはないし、準備はこれくらいでいいだろう。なによりそろそろ国の方でも動きがありそうだからな)


 時間が経てば経つほど、ステータスカードの情報が世界で確認されてきている。


 そうなれば当然、ポイントのことについても判明していくことだろう。


 俺自身もそうなるように接触した自衛官に魔石やステータスカードを渡した上で言伝した以上、そうなるのは避けられない。


 それ自体は人類側の戦力を増強したいという俺の望みに沿ったことなので構わないが、それで何らかの動きが起こる前に魔物の居城にいる強敵を倒しておきたいところである。


 それがボスで倒した際に起こる人類に対するメリットとやらが討伐者に与えられるものだったら、誰かが手にする前に自分で確認しておきたいので。


「よし……行くか」


 敵のアジトらしきところに攻め込むのだ。


 これから何が起こるのかは予想ができない。


 でもポイントも残してあるし、必要なスキルなども適宜手に入れれば、どうにかなると信じるしかない。


 そう考えながら俺は最後にショップで必要な物を購入して、インベントリを確認してから魔物の居城へと歩を進めるのだった。




オーク(300P×195体=)58500P

ゴブリン(50P×489体=)24450P

オークナイト(3000P×12=)36000P

合計118950P

消費 INT上昇レベルⅥ -96000P

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