第2話

昨晩のこと優也は頭のオデコを擦りながら家の近くの病院に来ていた。この病院は同級生の知り合いが院長をしている為、少しだけ融通がきくので何度か病院に泊まったことがある。

同級生の院長も子供の病状を知っているためある程度大目に見てくれるので助かっている。

夜8時を回り、消灯時間が近づいていたので三つ子はもう寝ているだろうなと思っていたが部屋のドアを開けるとベットの中から目だけを動かして自分を見て言う。低いボソボソとした声で「「「お父さんどうしたの」」」見事にハモっていうので「今日、止まっていくな」

ユナが「又お母さんと喧嘩したの」と聞いてきた。

コレまでも何度か泊まったことがあるがその度にお母さんから避難してきたと誤魔化していたがバレているようだ。

話をずらすために前回来たときのトラブルのその後を聞く、「前回のあの幽霊はもう出てこないかい、怖いことはないかい」

「「「うん、お父さんのお蔭でもう出てこないよ」」」

そのトラブルとは今年の正月のこと、その日も妻の紗栄子がヒステリックになり、なだめようと努力はしたが一向に良くならず泣きながら部屋に閉じこもったので、ドア越しに「チョット出掛けてくる」そう言って病院に来たが顔を出してすぐに家に戻るつもりでいたのだが、病院のベットにいる三つ子の我が子が震えて泣きながら窓の方をじっと見ていて様子がおかしい。

自分に気づいた三人は「「「お父さん怖い人がアソコにいるの」」」そう言って泣きながら窓を指差すので、そこへ行っても誰もいないし見えない。

「誰も居ないぞ」そう言って三人を見るが自分の方を見てまだ震えて泣いている。

只事じゃないなと思い三人の方へ行き、「その怖いという人は何処に居るんだぃ。」

指差す方を三つ子の方から見てみるがやはり自分には見えない。どうにかしないといけないがどうしたものかと考えていたら、都市伝説のホラーテレビで及川翔が言っていた悪霊を祓う呪文を言っていたのを思い出す。テレビでは「天神鬼悪霊浄(テンシンキアクリョウキョ)」を3回唱えるというものであった。

それを真似して三つ子が指差す方に太陽の光が指先に集まるようにイメージをして、その場所に指を差し「天神鬼悪霊浄」を3回唱えると三つ子が「「「アッ」」」と言いながら目線がゆっくり上にあがっていき「「「スゴーイ、お父さん今何したの、上から眩しい光が降りてきて怖い黒い人を連れて行っちゃた。」」」

「このことは、お母さんには絶対に内緒だぞ、お父さんとお前達三人の秘密だからな。お母さんは怖がりだから、このことを知ったらここへ来なくなるかもしれないからな。そしたらお前達も困るだろう。」

「「「うん、分かった」」」

マナが言う「おとうさん「「「ありがとう」」」

「どう致しまして、上手く行って良かったよ。」

消灯時間になり、今日は泊まっていくことにして紗栄子にその旨を言うために携帯電話から電話を掛けるがでない。仕方ないので三人の横に眠り、ウトウト仕掛けたときに、

ユナが言う「お父さん、ユナ達病気でゴメンね」

三つ子はションボリとしている。

眠い目を手で擦りながら頭を持ち上げ、ユナ達三人にいうのであった。「いいか、お父さんの本心を耳の穴カッポジテよ〜く聞くんだぞ」そう言ってカナ、ユナ、マナの順に一人ずつ耳をユックリ優しく引っ張り言う「いいか、お父さんはお前たち三人を心から愛している。」そう言って三人のオデコにチュウをするのであった。「神様はな、乗り越えられない試練は与えないそうだよ。お父さんは、神様に感謝しているんだぞ。お前達三人をお父さんのところに寄越してくれて、ありがとうてな。」

「よし、ついでだからお前達にお父さんの秘密を教えるけど、このこともお母さんにも他の誰にも喋ってはいけないぞ、約束だからな」

「「「うん、分かった。どんな秘密なの」」」

「昔イエス・キリストという人がいて手をかざすだけでどんな病気でもアッという間に治したんだけど、お父さんもそのヒールの魔法が使えるんだ。でもお父さんの力はとてもとても弱いんだ。お父さんがここへ来るときはいつもお前たち三人の横に寝て三人を抱くように左手を背中に回して右手を胸の上から回して抱いているだろ」そう言って三つ子を寝かせてやって見せる。

「このときに太陽の光が両手に集まるのをイメージして、心臓が健康にドックンドックンとユックリ、力強く動くイメージをして、治れ、治れ、治れ、治れと強く思い念じるんだ。これを、お父さんがいないときはお前たち三人でやって欲しいんだ。やり方は右手を右の方にいる人の背中の心臓の上に添えて左手を自分の心臓に充てて治れ、治れと念じるんだ。そしてなるべく昼間、太陽の光を体いっぱいに浴びてからするといいぞ。」そう言ってから三人を向かい合わせてやり方を見せる。

「自分一人でも、もちろんできるからなるべくやるようにな。やりながらそのまま寝落ちしても問題ないからな。お前たちが大きくなってきたらお父さんの手が届かなくなるから自分でもやってな。」

「「「うん、やってみる」」」

「お父さんが必ず三人を治してやるからな、一人でなく三人同時に治してやるからな。」

その夜は幽霊が又、出てくるかもしれないので、なるべく安心させるために泊まっていったのだった。

ヒールの魔法というのは大げさだが、キルリアン写真というのを知っているだろうか。生体エネルギーを写真に写したすべての人が持っているもので分かりやすく言えば、風呂上がりに窓ガラスを触ってみてほしい、目には見えない生体エネルギーが手から出ているのが窓ガラスに映るのである。

ーーーーーーーーー

前回の幽霊騒動は収まってるようなので、携帯電話を一つ渡しながら、三人で仲良く使うようにと言ってから、使い方を教えて何かあったら夜中でもいいから電話かメールをするように言っておく。

もちろん「コレもお母さんには内緒だぞ」と言っておく。プレゼントはたまにやっていてクリスマスのときは夫婦の結婚式と三つ子の赤ちゃんの写真入りのペンダントのネックレスをプレゼントした時は三つ子は、すごく喜んでくれたがお母さんにバレるとヒステリックになるかもしれないので口止めは忘れない。カナには赤いペンダントのネックレス、ユナには紫のペンダントのネックレス、マナには緑色のペンダントのネックレスを一つ五万円程したのを渡したのだった。その晩はたくさんの話をしてから寝たのだった。

ただ夜中にベットから3回も落ちて腰を痛めて帰ったのであった。

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三つ子からまさかの夫優也の話が出るとはおもってもいなかった。

今朝の夫が腰に湿布を貼る姿を思い出して「お父さんここに来たの」

「「「うん、ベットから3回も落ちたの」」」三人がハモリながら言って、

カナが続けて言う「夜中に一緒にベットで寝ているときに最初に落ちたのをカナが気付いて、そのままだと風引いちゃうから起こしてあげたの、そしてまた私達と同じベットで又寝ていたんだけど2回目も落ちて、また起こしたんだけど···」

そこまで言って喋りたそうなユナが「3回目もベットから落ちたの、起こそうと思ったんだけど又落ちるかもしれないから、そのまま寝かせて私達の布団を掛けてあげたの」

マナも負けじと喋ってくる「そしたらネ、看護婦さんが明け方に来て、ベットの上で寒くて震えている私達を見て、お父さん見つかっちゃって看護婦さんに起こされたの、そしたら腰を怪我したみたいでね”イテテテテ“と腰をさすりながら起きたの」

マナの話す横でカナとユナがジェスチャーのように夫が痛めた腰を擦っている真似をしている。今朝の夫の姿に似ている。

続けてマナが喋る「看護婦さんに怒られて”部屋から出って行って下さい“て帰されたの」

カナとユナが「お父さん腰は大丈夫だった」と心配して聞いてくる。

昨晩は「女の所に行って来る」はこの子達のことだったのかと思い、まぁ女の子だけどね。「お父さんは大丈夫よ、此処へはよく泊まりに来るの」

マナが「昨日で6回泊まっていったよ」

ユナが「違うよ、7回だよ。最初は去年のこどもの日でしょ、2回目はマナが熱出した日でしょ、」

マナが「そういえばお父さん泊まりに来たんだったね。」カナが続きを言う「3回目がお盆の時でしょ、4回目が私達の誕生日で、10月の花火大会の話をしたときでしょ、5回目がクリスマスでしょ、6回目が正月でしょ、7回目が昨日お母さんと喧嘩してタンコブを作ってきたときの7回だよ」

紗栄子はイラッイラッときていた。子供に喧嘩をしたことやタンコブを私が作ったことを子供に告げ口したなと思ってつい、怒りが顔に出ると子ども達三人が不安そうな顔で紗栄子を見つめていた。

ユナが泣きそうな声で「お母さん怒っているの、お父さんイジメちゃ駄目だよと言い、半べそ状態で三人ともいる。

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