人生崖っぷちな私、Vtuberやってみる。
ぬぱー!!!
始まるきっかけ
第1話 プロローグ 全ての始まり
「人生崖っぷちとは正にこの事…。」
ずっしりと重い荷物を肩に掛け、私こと夢咲きららは長い道のりをひたすらに歩く。
奇跡的に持って来たのはスマホとほんの少しの着替えと5万の入った通帳と、処理され掛けていた配信道具。とは言ってもあんま使わないどころか2年間くらい使って無いんだけどね。
あとは何にもねえ。金も少な過ぎる。どう生きろと言うのだね、ワトソンくん。
「家〜家〜私の家はどこぉ〜」
そんな私の一筋の光。家。アイツらからもらった地図を頼りに進むともうすぐで……おっ、少し開けたところに着いた。さてさて此処からが私の優雅な一人暮らし、を、?
私は思わず黙ってしまった。
目の前に広がる景色に? それとも目の前の家に?
……いや、目の前の二文字に。
【 売地 】
書いてあったのはこれだけ。家のある気配なんてどこにも無い。でも、地図は間違ってなんていない。つまり私は、私は___
「やってくれたな、コノヤロウ。」
嵌められたのだ。
1時間、いや、恐らくそれ以上歩いた私はそのことに気づいた途端、へなりと両足の膝を地に着いた。
金もねえ、何もねえ、もう人生崖っぷちだ、なんてほざいていたが、まさか、
「家もねえのかよ。」
悲しい?辛い?怒り?いや、そんなん考える暇があるなら頭を動かさねば。何だってわかっていただろう。あゝ本当に私は今になって何を期待していたんだ。とりあえず、何としてでも今日を生きながらえなくては。今日を越えればきっとこの先もなんとかなる。
その為に頼る人物なんて1人しかいない。
立派なぼいんをもつおねいさんこと、従兄弟の優姉である。
無言で優姉の電話番号を入力して、彼女が出てくれるまでそっと待つ。
一回目のコール音が聞こえる。2回目、そして3回目の途中で、目当ての人物の声が聞こえてくる。
私は口に息をためて、溢れ出そうな感情に蓋をして、そっと吐き出す。そして、いつもの明るい調子で一言言うのだ。
「優姉。家無いから泊めてくんね?」
〜 〜 〜 〜
先程とは打って変わって冷房の効いたシャレオツなお部屋にくつろいでいる。広いリビング。そこから見える優姉の部屋も広そうな印象。小物とかおしゃれ。
はあ…金持ちはちげえや…。なんて、遠い目をする。
こう、余裕が出来るとだんだん笑えてくる…“夢咲くきらら!”とか名前にあっておいて今の状況は“夢枯れぴえん。”である。名前が今の私と真逆過ぎて虚しくなってくるワァ…。まるで優姉と私の大胸筋の差のように虚し…いや私もある方なんだがな。あれには敵わんよ、あのでけえ…でけえな触りた…
「ぐへ、ぐふふふ。」
「きららちゃん…?」
「ごめんごめん何でもない。」
やっべ顔に出てた。こんなだらしなくてはいかん。いかんぞきらら。そう私の中のイマジナリーティーチャーが言ってるよ。でも我慢も良くないとおもうの…。それはそれとして…心配そうな優姉の顔……イイ…!!!
「きららちゃん。あのね、大切なお話があるの。」
「おっぱ…はい。」
いけねえ、頭が煩悩で支配されてやがるぜ…!!
そんなふざけたことを考えている私をよそ目に、優姉は真剣な顔で私をみて言った。
それはとても簡潔で、けれども真剣な雰囲気の漂う一言。後に私はこう思うのだろう。これは、私が人生で最も驚いた瞬間であり___
「Vtuber、やってみない?」
私の人生の大きな転換点となった瞬間だ、と。
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