第23話 ぼっち、ゴーレムダンジョンに潜る 3

「修理できましたっ!」


 軽微な損傷だったから数分で終わってよかった。

 修理キットをアイテムポーチに入れてから、同接数を見ると8万人を超えている!

 しかもちらほら英語らしきコメントもある!

 ごめん! 英語はわかんない!


「あ、あい、あむ、のー、いんぐりっしゅ、らんげーじ……」


『英語1かw』

『あいらぶゆー!』

『日本語はよくわからないけどユニークな配信です(英語)』

『めちゃくちゃ刺激を受けるね!(英語)』

『わが社へのスカウトを見当したいな! ハッハッハッ!(英語)』

『ぼっちちゃんファンクラブ会長:後で日本語に訳してあげるからDMするね(^^)b』


 コメントが早すぎて一部しか読めないけど、魔王先生がいいこと言ってくれたかな?

 この人は目立つから目につきやすい。

 落ち着いたところで竜腕の巌窟王がドロップした宝箱を開けてみよう。あれ?


「こ、これ、特定の鍵がないと、開かないかも……」


『マジで?』

『稀にあるんよなw』

『宝箱ごと持ち帰るのがセオリー』

『さぁシーフの技をお見せする時間がやってまいりました!』


 だからシーフじゃないからね!?

 でも中身が気になるから、こちょこちょこちょっと。


「開きました! 中には……こ、これって、お、お、オリハルコン製の、鎧!?」


『ふぁ!?』

『オリハルコンって今や金以上の値打ちもんやん』

『オリハルコンって名前は聞いたことあるけどすごいの?』

『都心ダンジョンの深層潜るなら必須やで』

『ドラゴンのブレスを半減に抑えられるし、他にも色々耐性あったはず』

『どの探索者もほしがるやつ!』

『ネトオクでちっちゃいやつが二億で落札されてて笑ったわ』

『ネットオークションにあるのはほぼ偽物だから注意な』

『買い取りたいです! あとでDMしますんで!』


 な、なんかすごいの手に入っちゃったなぁ。

 でも私はこんな大きな鎧なんか身に着けて戦えないから加工するかも。

 オリハルコンがあれば試作型から大きく改良できるし、夢しか広がらない!


「オリハルコンなら硬さを活かして、ふるぼっちアーマー型もいいかなぁ……」


『ふるぼっち(意味深』

『はしたない! そんな子に育てた覚えはありませんよ!』

『もう一回言って!』

『ふるぼっち( *´艸`)』

『ぼっちちゃんファンクラブ会長:てめぇらバラバラにすんぞv(^∀^)v』


「え、な、なんか変なこと言ったかな?」


 コメント欄がふるぼっちで盛り上がってる?

 検索したけど特に盛り上がるような結果は出てこないけどなぁ。

 よくわからないけど、喜んでもらえるならふるぼっちアーマー型の開発も検討しよう。

 試作型のコンディション、問題なし。

 修理も終わったから次はいよいよゴーレムダンジョン最終層だ。


「次は最終層ですね……。でもダンジョンボスのマスターゴーレムはA級、だったかな……大丈夫かな……」


『巌窟王より弱いんじゃ?』

『さっきA級ぶっとばしたやんw』

『それよりオリハルコンの買い取りお願いできませんか?』

『ダンジョンホッパーズ(視聴用アカウント):B級ギルドのダンジョンホッパーズです。オリハルコンの件でDMしました』

『交渉うぜぇ』

『あのさ、『それより』とかぼっちちゃんに失礼だと思わないの?』

『ジョブホッパーズはドラゴンズネストでボコボコにされたから必死なんやな』


 なんか変な流れになってるよぅ。

 こ、これはなんとかしないとだね。


「あ、あの、配信に関係ないコメントは、や、やめてもらえると、た、助かります……」


『ぼっちちゃん、しつこいのはブロックしなよ』

『モデレーター設定してくれたらやるで』

『ぼっちちゃんファンクラブ会長:会長が モデレーターにしてほしそうに そちらを見ている( ΦωΦ )』


 モデレーターかぁ。

 できるだけ消したりとかはしたくないんだよね。

 せっかく来てくれているんだし、ちょっと気が引ける。

 そしてなんとなくだけど、魔王先生をモデレーターにするのはよくないと思った。


「も、もうダンジョンボスにいきますね!」


 ホバリングしながらダンジョンボスのフロアに入った。

 待ち構えていたのはマスターゴーレム。

 竜腕の岩窟王ほどじゃないけど、大きさは三階建てくらい?

 だけど宙に浮いていて。腕だけがすっごく大きい。

 上半身と下半身のバランスも悪くて、そして怖い。


「ゴルアァァーーーーーー!」

「お、怒ったぁーーーー!」


『おーおーさすがマスターゴーレム』

『迫力満点!』

『マスターゴーレムは半年前にA級ギルドが半壊して撤退してるからな』

『俺のギルドも堅い強いで手に負えなかったからお手並み拝見』


 さっそく視覚を狙って、え?

 マスターゴーレムが肩から火の球を発射してきた!

 聞いてないぃぃ!


「ひぃぃぃぴぎゃぁーーーーー! 死ぬ死ぬしぃぃぬぅーーーー!」


『ちゃっかりかわしてるwww』

『逃げるのうめぇww』

『しぬしぬ詐欺ww』


 さっきのより凶悪なんですけど!?

 遠距離攻撃があるなんて思わなかった!

 しかも今度は空中に岩を生成してるぅー!


「も、もぉーーー! 落ちて落ちて落ちてぇーーーー!」


 フレアライフルをとにかく撃ちまくる!

 岩や火の球を撃ち落としつつ、本体を狙う!


「最大出力ぅーーーー! フレアライフルッ!」


 二丁のフレアライフルを合わせて真っ直ぐに放つ!

 一直線にマスターゴーレムを貫通した!

 そして体に空いた穴から亀裂が入って崩れていく!


「や、ややや、やった!」


 マスターゴーレムが瓦礫みたいになってようやく動かなくなった。

 力が抜けてへたり込んでしまう。 


「はぁ、はぁ……」


『おめ!』

『楽勝やんw』

『はぁはぁ(*´Д`)』

『マスターゴーレム貫通ww』

『A級ライセンス持ってる俺がろくにダメージすら与えられなかったんだが…』

『フレアライフル、大体貫くんよな』

『今のぼっちちゃんの実力は数少ないS級だよ』


 私、すごいことやっちゃったんだなぁ。

 そして気持ちいい!

 ちょっと前まで陰キャだった私を皆が認識して応援してくれている。

 改めて考えると涙が出てきちゃった。


「み、みなさん、おーえんしてくれて、あり、ありがとー……」


『死ぬまで応援するぞ!』

『泣いてる…』

『ワイも泣いてる』

『試作型でこれだけ魅せられるんだから次が楽しみやな』

 

 その通り、試作型から色々と派生すればもっと私は戦える。

 戦い終わったばかりなのに、製作意欲が湧いて止まらない。


「あ、報酬!」


 報酬の宝箱に近づいて開けてみると、入っていたのは。

 えっと、これは確か見たことある。


「きょ、巨神の小手……」


『へ?』

『は?』

『幻やん』

『いやさすがにない(現実逃避』

『レアドロwwwwww』

『ぼっちちゃんもってるwwww』

『攻撃力アップの魔法効果なかったっけ?』

『オリハルコンに続いて巨神の小手はやばいwwww』

『事務所にとられない? 大丈夫?』

『そんなことする事務所なんて一つしか知らないw』


「あは、あははは……」


 私が貰っちゃっていいのかな?

 前衛で戦っている人がかなり欲しがる装備だよね。

 ボスでしかもレアドロップ。

 私、明日あたり死んじゃうのかな?

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