霊能者・霊歌の華麗なる活躍
うにどん
第1話 依頼
幽霊がエネルギー源の中心となって、数百年。
幽霊の中でも人に危害を及ぼす凶悪な幽霊を除霊し、無害なエネルギー源・人魂にする仕事、霊能者が存在する。
今現在、その霊能者の中に若干15歳という若さで霊能者として活躍している少女、
最年少という肩書きもあるが、その実力は一流の霊能者達が口を揃えるほどのお墨付き。
当然、そんな彼女には沢山の依頼が舞い込み、忙しい日々を送っている。
「あ~、疲れた~」
ドサッと倒れ込むように私は自宅兼事務所のソファーに座ると助手である猫又のサブローがお茶を持ってきた。
「ご主人様。遠出の依頼、お疲れ様ですにゃ」
「サブローも疲れてるのにお茶ありがとう。それにしても休みが欲しい~」
「仕事があるのは良いことにゃ。いつ依頼が一つも来ないなんて状況があるかもしれないにゃ、稼ぐときに稼がないとダメにゃ」
「うっ・・・・・・」
サブローが言ってる事は正しい。
殆どの霊能者はエネルギー管理会社に就職するのが一般で私のようにフリーで活動してるのはごく僅か。
理由は簡単、稼ぐのが容易じゃないからだ。
私は霊能者デビューする前から注目されていたのもあって、大量の依頼が来るけど、もしそうじゃなかったら安定した生活を送るために管理会社に就職していた。
疲れるけど仕事がないよりマシとサブローが淹れてくれたお茶を飲んでいると依頼用の電話が鳴った。
「はい、此方、霊歌霊能事務所ですにゃ。若本様! お久しぶりですにゃ!」
サブローが電話に出る、相手は私の師匠との縁でよく依頼を頼んでくれるお化け屋敷管理者の若本さん。
お化け屋敷とは、エネルギー源である幽霊を保管する施設を言う。若本さんはこのお化け屋敷を複数管理している方で非常に有能で裕福な方、付き合って損はない。
疲れてはいるけどお得意様の若本さんを無視するわけにはいかない、サブローから受話器を渡され受け取った。
「はい、お電話変わりました。お久しぶりです、若本さん」
『久しぶりだね、霊歌ちゃん。突然だが遠出の依頼で疲れているところをすまない、緊急事態が起きた』
「緊急ですか・・・・・・」
『ああ、私が管理している低級幽霊のお化け屋敷に上級幽霊が迷い込んだ』
「ええ!?」
幽霊には階級があり、低級、中級、上級、特級と分かれている。高ければ高いほど高度なエネルギーを生み出すがその分、凶悪で浄霊も難しくなっていく、中にはそれで亡くなる霊能者も少なくない。
でも一番厄介なのは上級、特級クラスの幽霊は周りに影響を及ぼし、周囲の幽霊を暴走させ、最終的には同じクラスの幽霊にしてしまうこと。
力の弱い低級が上級に影響されるのは目に見えて解る、だから緊急だと若本さんはそう言ったのだ。
「低級達の様子は?」
『暴れ回っているそうだ、力が弱いのが幸いしてい被害は今のところはないが・・・・・・』
「低級がいつ上級になるか時間の問題というところですね?」
『そうだ、それにそのお化け屋敷には霊能者育成所から生徒4名、教師1名、計5名が研修として訪れていて、彼らからの連絡が取れてない状態なんだ』
「はい!?」
想像以上に緊急事態だよ!? 若本さん!! それを先に言って!!
と内心、思いながらも冷静に話を聞く。
『どうして、上級が迷い込んだかは此方で調べてる最中だ。そして、君にはお化け屋敷に舞い込んだ上級の除霊及び生徒4名、教師1名の救助を頼む』
「はい、そのご依頼お受けします! サブロー準備を!」
「はいにゃ!!」
傍らに置いていた疲労回復薬(ドリンク)を一気に飲み、サブローに除霊の準備の指示を出す。
疲れているけど人の命がかかってるんだ、最年少にして天才霊能者、愛蘭霊歌!! 頑張ります!!
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