第27話 ミシェルとの和解を楽しむ
………
『ねえ、今日は何をするの?』
「今日はいい天気だから何か外でできることがいいよね。」
「今日は鬼ごっこをしようぜ!俺が鬼になるからよ、お前らが逃げるんだ。
じゃあ、よーいどん!」
「ちょっと、いきなり始めるなんて…」
「私はパス。」
「そんなこと言って止まるようなやつではない。
はやく走るぞ。」
~~~
「私はパスって言ったのに…」
「そんな事を言っているから負けるんだ。
楽しかったなぁ。」
「楽しいと思っているのは貴方だけだと思いますけどね。」
「いや、そんなことはない。私は結構楽しかった。
こうして皆で寝っ転がるのも良いものだな。」
「うん。風も気持ちいい。」
『うん、そうだね。とっても暖かい。』
………
「レン様。おはようございます。
朝食のお時間ですよ。お着替え下さい。」
私はリジに声をかけられて目覚めた。
「レン様?どうして泣いておられるのですか?」
そう言われ私は自分の目元を触ると指先が濡れた。
「どうして…かな?
何かとても暖かい夢を見た気がする。」
私がそう呟くとリジは、はぁ、とため息をつきそっとタオルで拭ってくれる。
今日も私は休みらしい。だが、今日は午前中にミシェルがヴァルレットと話し合い、午後に私の所へ来るらしい。
話し合うと言っても私が倒れた大体の原因は分かっていて、魔力を一気に使い果たしてしまった魔力不足で倒れてしまったらしい。
いや~張り切りすぎてしまった。
これは、私のせいで皆に迷惑をかけている気がする。
でも、私は言われた通りにやっただけだけどね。
皆に心のなかで謝罪しながら前に図書室から借りた本を読んでいると午後になったようで、昼食を終え部屋に戻るとミシェルが待っていた。
私はミシェルを部屋に通し、リジにお茶を淹れてもらう。お茶を飲んだところでミシェルが話を切り出した。
「レン様、先日は私がいながら魔力不足という自体になってしまい申し訳ございません。」
「いえ、いいですよ。私の扱いが悪かっただけでミシェルさんは悪くないですよ。」
私が悪いと言うとミシェルは首を横に振り話を続ける。
「いえ、私の責任です。魔力というのは扱いが難しく初めて扱うときは体の中の半分も扱えないはずなのですが、レン様は初めてにして体内の魔力の半分以上を放出致しました。そのことを私が想定していなかった為に…」
…どうしよう、ミシェルは私が何か罰を考えないと引かないつもりだ。
私は少し考え答える。
「では、これからも私に魔法を教えて下さい。」
「…私がこれからもお教えしてもよろしいのですか?」
「はい。私、魔法を使えるようになりたいんです。
それに、私に魔法を教えてくれる方なんてミシェルさんしかいませんから。」
私の答えを聞きミシェルは少し微笑み、頷いた。
「承知いたしました。ですが、レン様に私がお教えしなくとも婚約者であるアルフレッド様が教えてくださるのではないですか?」
私はハハハと軽く流す。
婚約者ということになっているが簡単に言えば政略結婚だ。
外からどう見えているのかは知らないが…
「では、私はこれで失礼させていただきます。
使用人がいるとはいえ、婚約者の居る女性の部屋に長居してはいけませんから。
魔法の訓練はまた互いの予定が合う時に致しましょう。」
私はまたも微笑みながら挨拶を交わし、ミシェルは帰って行った。
その後、私は読みかけの本を読んでいると夜になったようで、リジと共に夕食の席へと向かう。そして、皆が揃ったら食事を始めた。今日は私の魔法の扱いについて食事の後話し合うらしい。
私は周りの会話に相槌を打ちながら本題が始まる前に自分の立場について振り返る。
前に聞いた話によると、神により加護が与えられた各5カ国に異世界から来た召喚者がいて、1年間自国でこの世界の常識や基本知識、行儀作法などを学び、来年から貴族や王族の通う学校のような所へ行くらしい。
学校と言っても期間は前の世界で言うところの季節2つ分ほどで、その間は寮生活をするという。
そして、来年の学校へ入学をする前にアルフレッドとの婚約式を正式に行い、卒業後に結婚式を行うらしい。結婚してからは将来の国王夫人としての執務の手伝いがあるので実質私が自由な時間は学校を卒業するまでだ。
もう面倒くさいから第二夫人当たりでいいよというのは駄目だろうか?
私が頭の中で情報の整理をしていると、食事も中盤に差し掛かり私の魔力の扱いについての話になった。
周りにいる皆から心配の声をかけられ、私は大丈夫ですよと答える。
このままの流れで今回私が倒れた原因の話になった。
「今回は初めての魔力操作じゃから多少の体調不良はしょうがないと思うがまさかここまでとはの…
きっと、レンちゃんの体内の魔力効率が良かった事が今回の原因じゃな。」
魔力効率?何それ…
私が困っていることに気づいたアルフレッドがこっそり教えてくれる。
「魔力効率が高いというのは体内の魔力をより小さな力で循環させることができるということだよ。
体内の魔力は水のようなイメージと言うだろう?」
ん~なんかわかった気がする。
まあとにかく体の中を血液のように巡ってる魔力がいかに早く全体に広がるか…みたいな?
「私の魔力効率が高くて初めてなのに体内の魔力をほとんど使ってしまったということですか?」
「まあそういうことになるのぉ。
じゃが、魔法を扱う上では魔力効率が高い方が簡単に技が放てるぞ。練習は必要じゃがの。」
私とヴァルレットの会話が一段落ついたところで話が本題へと移っていった。
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