第17話 小さな食事会を楽しむ
「ここはお気に入りの場所なの。
貴方も気に入ってくれると思うわ。」
連れてこられたのは大きな窓から外の花々を一望できる部屋だった。
太陽の光に照らされた丸いテーブルには既にパンやバター、サラダなどが置かれていて、食事の準備がしてあった。
二つある椅子の一方にアリシティア様が座り、その対面に私が座る。そして、私達に付いてきていたリジが私の後ろに付く。
私達が座ったことを見計らって、既にその場にいた深緑色のお下げ髪を肩に垂らしたおしとやかなメイドさんが私とアリシティア様の前にお茶を淹れていく。
淹れた後、私の後ろにいるリジと少し目配せをし、アリシティア様の後ろに付く。
もしかして、あのメイドさんは…
「レンちゃん?準備ができたようだから食べましょう。
お茶も冷めてしまうわ。」
まあいい。答えは後でリジに聞けばいい。
「はい、そうですね。」
………
食事を終え、食後のティータイムの時間になった。
「それで、今後についてなのだけれど。
貴方にはエルメイア王国王妃としてふさわしい人物になってもらわないといけないの。
そのためにはこっちの世界の事を学ばないといけないと思って、代々エルメイア王国王家に仕えている教師の方に頼んであります。
これからは、毎日朝食を取った後に午前中は勉強の時間にさせてもらうわ。」
「えっ…」
「それと、貴方とアルフレッドの婚約式は来年の今、春にして、結婚は貴方学園を卒業してからにしようと思ってるの。」
「ちょっと待ってください…
少し早くないですか?私はまだ15歳で、成人もしていなければ結婚もできません。」
私がそう反論すると、アリシティア様は少し肩をすくめる。
「元の世界のことはわからないけれど少なくともこの世界では15歳で成人で、結婚もできるわ。
少し時間を空けるのはレンちゃんの知識をつける時間を得るためと、周りの国から認めてもらうためよ。
いきなり出てきてすぐに結婚なんて出来ないもの。」
そんな事言われてもいきなり割り切れるわけがない。
でも、護身のためとは言え結婚を了承してしまったんだ。
いつかはこうなるとわかっていた。
「…わかりました。」
………
話が終わり、解散となった。
勉強は早速明日から始めるらしい。
今は自由時間なので何をしてもいいと言われたが、やることがない。
私は部屋で何をしようか考えているとふと、後ろに控えているリジの事が目に入った。
「リジ。少し話しましょう。
そう言えば朝の件はどうなりました?」
「動きやすい服の注文ですか?
そのことなら滞りなく。」
「それと、さっきアリシティア様の後ろについていたメイドさんは、もしかしてリジとリズのお姉さんですか?」
お茶会の時に気になっていたことをリズに聞く。
少し大人っぽい雰囲気だったが顔つきが似ていたのだ。
「はい。私達の姉のリザ姉さんです。」
やっぱりそうだったか。
「どんな人なんですか?
大人っぽい雰囲気だったけど…」
「大人っぽい?アレがですか?
確かに黙っていればそうかもしれませんが口を開けば別人ですよ。
仕事は完璧ですが…」
ますます興味が出てきた。
しっかり者のリジからこんなに言われる人物とはどんな人なのだろうか。
私の疑問は深まるばかりだ。
「そうなんですね。
もっと気になってきました。」
「何でですか!?」
身内の話をしたことで少しだけリジと打ち解けることができたように感じて少し嬉しかった。
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