第1話 異世界を楽しむ
「はぁ…異世界召喚されないかな~」
「じゃあしてみる?」
「えっ?」
………
私が目を覚ました時にはついさっきまで騒がしかったはずの教室での人の声が嘘のように何も聞こえなかった。
聞こえてくるのは小鳥のさえずり…自然の風の音…
まだ
「うそ……」
ただただ広い草原が広がっていた。
そう。まるで異世界にでも来たかのような…
その時私はここに来る前の事を思い出した。
優しそうな女の人の声…
"じゃあしてみる?"
そうだ!私はあの時異世界召喚されたいと願って…
じゃあもしかして…
「私、異世界召喚しちゃったの!?」
………
状況を整理しよう。
私はあの声の主に召喚されたとして、少し離れたところに薄っすらと大きな建物の影が見えるところから、ここは街の郊外にある広い草原だということがわかる。
逆にそのこと以外は全くと言っていいほどわからないので、ひとまずはあの街を目指すしかない。
そこで情報を集められるといいけど…
というか言葉って通じるの?この服で街中入れる?
まあ、細かいとこは気にしない事にしよう。
服装は門で止められたら脱げばいいし、言葉は…
通じることを祈ろう。うん。そうしよう。
………
そんな軽い気持ちで街を目指し、足を進めていたら、目の前に謎の物体が姿を現した。
それは…まるでゼリーのような質感に光沢。淡い青色で少し
その姿はまさに…
「スライムだ~!!」
そう。それはどこからどう見ても完璧な"スライム"だった。
「かっ…かわぃぃ」
ゲームとかで見るスライムはかわいいけど、実際はモンスターだし、怖いものだと思ってたんだけど…
何これかわいいじゃんっ!
誰?スライムが怖いとか思ってたやつ?
「撫でてみても良いのかな…?」
近くに駆け寄り、腕を伸ばそうとしたそのとき…
「ドンッ」
という衝撃が体に走った。
「え?」
一瞬何が起こったか分からなかった私は自分の体の上に乗っかっているスライムを見つけた。
どういうこと?この子がやったの?街に付いたらペットにしようとしていたこの『スラ太郎』が?
そうか!かまって欲しかったんだね!
今のこと許してあげるからひとまず体の上から降りて?
できるだけ笑顔で『スラ太郎』に微笑みかけると威嚇されたと勘違いしたのか、口を大きく開けて襲いかかろうとしてくるではないですか。
「イヤ~~~ッ」
気付いた時には私は本能のまま走っていた。
こんな所で死ぬのだけはダメ!
まだ異世界でやりたいことを何もできてないし、死因がスライムに食べられましたじゃ話にならない!
やっぱりスライムがかわいいなんて嘘だ。あんな見た目でもモンスターなんだ!
人を見た目で判断してはいけないとはよく言ったものだ。あんなにかわいいのにこんな化け物だったなんて。
さっきの体当たりで絶対にHP減ったよ。
ふと後ろを振り向くと何故かスライムが増えていた。
スライムって弱いんじゃないの?
こんなに好戦的なの?
それとも私が弱いから?弱くて悪かったですね!
どうせなら街中スタートが良かった…
今から変えられないかな…
そんなことを思いながら走っていたら、どうやら街の入り口までたどり着いたらしい。後ろからスライムが追いかけてくる気配もないし、ひとまずは安心だ。
「街に入ったらまずはご飯が食べたいな~それからは探検して、ギルド登録とかしちゃうのかな~」
入り口である門の前までたどり着くと、街に入るための列ができていた。
中には冒険者のような格好の人や、商人が乗っていそうな馬車などがある中に、ケモミミやエルフがいるではないですか!
この様子を見ていると異世界に来たことを実感するなぁ。
あの尻尾触らせてくんないかなぁ?
と思いつつ入国?の列の一番うしろに並ぶ。
しばらく待ったあと私の番が来た。
前の方にいた人たちはスムーズに入っていったので私も簡単に入れるものだと思ったけど…
「君、ギルドカードは?カード持ってないなら入国料金払ってね。」
えっ?
入国にお金が必要なんて聞いてないよ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます