第19話 見られてる……
「あ、先輩! やっと来ましたね!」
部室に入ると、真咲が大きな足音を鳴らしながら近づいてきた。
どうやらコイツもご立腹のようだ。
まあ、コイツの怒りなど、貴管先生のそれに比べれば微塵も怖くないわけだが。
「なんだよ。文句あんのか? 誰もがお前みたいにゲームの重力に引かれるわけじゃないんだぞ? こちとら自分の脚で部室まで来てんだ」
「私だって自分の脚で歩いてますよ! とういかそんなことはどうでもいいんです! 謝ってください! 昨日のこと!」
「は? 謝る?」
ちょっとなに言ってるのかわからない。
俺が真咲に何かをしただろうか。いや、していない。
昨日は胡狼さんからジャージを受け取るのを頼んだくらいだ。
怒られることなんてなにもしていないはず。
「とぼけないでくださいよ!! 私、頑張って彩音先輩に立ち向かったのに……先輩は助けてくれないどころか、私を置いて自分だけ逃げたんですよ!? 信じられません!!」
「あー確かにそんなこともあったかもな。悪い悪い。あれは俺も逃げるしかなかったんだよ。わかってくれ」
「全然悪いと思ってませんね!?」
「思ってる思ってる。めちゃくちゃ思ってる」
「むうぅぅ〜!」
頬をパンパンに膨らませ、不満げな表情を見せる真咲。
その姿はまるでリスのようで、やはり怖さなど微塵も感じない。
むしろ、可愛らしい。
「じゃあ、なんで配信の時に謝ってくれなかったんですか!」
「配信?」
「昨日生配信してたじゃないですか。その時に私、何度も謝れってコメントしたのに先輩はずっと無視したじゃないですか!」
「え、いや、ちょっと待て……。もしかしてあのアンチコメント全部お前が書いてたのか?」
「そうですけど」
「嘘だろ……」
「どうしたんですか? もしかして、私のアンチコメが怖すぎて、ブルっちゃいましたか? ぷぷぷっ!」
「いや、全然違うけど……」
アンチコメなんてクソどうでもいい。
問題は、真咲が俺の配信を見ていたということだ。
正確には、知り合いが俺の配信を見ていたというのが大問題なのだ。
普段の俺とは全く違う【ユイトン】としての姿を見られていたということ。
それはつまり、俺のキャラの崩壊を意味するわけで、今後どんな影響を及ぼすかわからない……。
「ちなみに俺が配信してるのを知ってるのって……」
「結構いろんな人が知ってると思いますよ。むしろ今まで自分の配信がバレてないと思ってたんですか?」
「マジかよ……」
もう最悪だ。最悪すぎる。
「別にそんなに落ち込むことじゃなくないですか。結構前から知ってましたし。特になにも変わりませんよ」
「お前ら視聴者にとっては変わらないかもしれないけど、俺のメンタルはかなり変わるんだよ……」
知り合いに見られているという情報は、配信中の俺の意識に大きく影響してくること間違い無し。
真咲に見られてもクソどうでもいいが、もしリオンとかに見られていた可能性を考えると…………
『くすくすっ……。愚民が必死に喚いてていますね。実に滑稽です』
『あらあら……底辺の人間はゲームもろくにできないのですか? 哀れですね』
『はぁ……失望しました。こんな底辺と関わりがあると周りに知れたら、私の評価が下がってしまいます。もういっそ存在を消してしまいましょう』
「うわぁぁぁぁぁぁ!!! ころされるぅ!」
「うわ……先輩がぶっ壊れた……」
やばい……想像しただけで腹が痛くなってきた……。
「いやでも……よく考えたらリオンは俺みたいな底辺の配信は見ないか……。それに俺の配信なんて胡狼さんにめちゃくちゃ見られてたじゃん。真咲の言う通りだわ。なにも変わらない」
「うわ……なんか自己完結した……。気持ち悪……」
「それより本当に最悪なのは大会出場の方か……」
「は? 今なんて言いました? まさか大会出場とか言ってませんよね……」
ついさっきまで呆れ顔だった真咲の表情が一瞬にして凍りつく。
「ああ、言ったよ。俺たちは大会に出場するらしい」
「はぁぁぁぁぁあぁあああぁぁぁぁぁぁあぁ!?!?」
〜〜謝罪〜〜
まず今日の話のテンポが悪いことを謝罪します。
その上で、ここまで来る上でつまらない話、タイトルのついてない話、テンポの悪い話などが多く存在したことも謝罪します……。
つきましては、それらの話の修正をしたく、それらに時間を割くために明日の話を投稿できない可能性があります。投稿されなかった場合は察していただけると幸いです。
既にここまで読んでいただいている方に不利益がないよう、ストーリーやキャラの改変は絶対に行わないと約束します。
なるべく良い形で話を進めていけるよう今後とも努力していきますので、どうか今後ともよろしくお願いします。
なお、この謝罪文は修正の完了とともに自動的に消滅します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます