クレイジーワールド

@kimura_masahito

第1話

3月31日

午後6時…


…由美は自室のベッドにうつ伏せで寝ていた。

寝ていたが、眠ってはいなかった。いや、眠る事など、到底無理であった。


後6時間後、日付が4月1日に変わった瞬間、どうなってしまうのだろうか?由美は焦りと不安で身震いした。


最初は10年前、由美が10歳の時に起きた。先月誕生日を迎え、由美は二十歳だ。

もうすぐ行われる3度目の世界的なプロジェクトの参加者、いや、被害者になり得る年齢に達している。由美はスマホのテレビアイコンをタップした。どの局も同じだ。プロジェクトの事しか報道していない。新しく付加されたルールや禁止行為などを、繰り返し報道している。

由美はユーチューブのアイコンをタップし、女性-生き残る方法で検索した。


悪あがき…


何も準備出来ていないに等しい。

運が悪ければ殺される…

抵抗せずに、男達からの度重なる陵辱に、24時間耐え忍べば、命までは奪われないだろう…

由美は溜息と同時に身震いをした。


10年前、最初のプロジェクトの時に、由美の母親が犠牲になり、同時に父親も失った。


プロジェクトの名は『MATURI』


世界的なプロジェクトだ。

目的は高齢者や障害者など弱者の救済と、少子化対策だ。


2025年、第三次世界大戦が勃発し、核が使用された。日本にも核ミサイルが発射された。しかし、日本は核ミサイルを完全に迎撃する事に成功した。

日本が極秘裏に開発していた核ミサイル迎撃システムは、完璧に核ミサイルを無力化したのだ。更に日本は、極秘に配備していた核ミサイルの使用を世界に向けて宣言する。


次は迎撃と同時に反撃を開始する!


大国が、世界が震撼した。

日本が真に独立を手にした瞬間だった。


日本は世界に向けて終戦と平和を呼びかけた。

世界は屈服し、やがて日本に協調する。

日本が何も奪わずに、世界平和の構築を呼びかけたからだ。


しかし、日本はその後速やかに行われた世界平和協定調印式が済んだ直後に、南海トラフ地震に見舞われた。俗に言う反割れによる被害は余りにも甚大であり、富士山の大噴火というオマケ付きの最悪の事態だった。


推定死者数45万人、行方不明者含む。


一方、世界中から日本に救援の手が差し伸べられた。復興は順調に進み、現在に至っている。





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