第18話 アイテムの換金
モンスターの素材の換金はほとんどダンジョン協会が間に入っている。
ダンジョンから出るとダンジョン協会に預けて鑑定し買取か持ち帰りかを選べる。
持ち帰ったアイテムを売る場所なんかは知らない。
(私の場合非合法でダンジョンに入ったから買取査定出したら捕まるよね……)
頭を悩ませる。
通常ダンジョンに入る際は探索者免許が必要だ。
免許を持たずにダンジョンに入ることは違法となってしまう。
今回はそもそも出来立てほやほやのダンジョンでダンジョン協会員の数が少なかったこと、偶然スタンピードが発生したこと。 それにより侵入者に対する警戒が手薄になっていた。
(勢いで入っちゃったもんな。 まぁそれに関しては後悔してないけど)
レベルアップする毎に自分の力が増している事実を認識し胸を張った。
(いかんいかん、話が逸れた)
頭を振って話をもとに戻す。
(アイテムの流れってどうなってるんだ? 私が勤めてた会社だとどこから仕入れてたんだっけ……協会からか? それとも会社の回収班とか居たんだっけ?)
昔のことを遡る。
私が居た部署は事務だったため主に営業が取って来た仕事を社内システムに打ち込む、それと請求書の発送をしていた。
他にも色々経費の入力だの事務用品の補充だの資料のまとめだのをやっていた。
(……直接仕入れと接触する機会が無かったな)
アレっと首を捻りさらに商品に関する記憶を呼び起こす。
(……確か鑑定され品質保証がされたものが流れてきていたって聞いた気がする)
誰に聞いたとかどこで聞いたとかは定かではない。
(分からないものはしょうがないか)
はぁっと軽くため息を吐く。
(探索者がダンジョン協会以外に販売することは出来ると思う。 じゃなかったら持ち帰ったアイテムが要らなくなったとき処分に困るし。 ……ダンジョン内に捨てる? まぁ出来ない事もないか? でも……例えば小さい子供に持ち帰った魔石をあげる。 それは違法なの? どうなの? 子供じゃなくても貰ったものを売るとかする人居るよね? そういう時どうなんだろう?)
自分は探索者にならないと思って過ごしていたため法律的な部分の知識は明るくなかった。
(利益が出たら違法? それを報告しなければ違法? 利益云々ではなくダンジョンから出た物を一般の人が売ったら違法? 利益ならスーパーとかで購入したモンスター肉を多めに買ったからって他の人に半額で売るのはどうなの? お肉に限らないけど。 持ち帰りも選択できると言う事はモンスターのお肉を売る人だっているよね。 お肉自体一般流通に乗ってるんだし好んで食べる人も多い。 それって全部管理できるわけないよね)
こんな時こそスマホで検索したい。
でもスマホの電源を入れたら最後だ。
モヤモヤしながらもなんとかその一線を守った。
(というか探索者登録出来るの私。 死んだ扱いになってるなら住民票とか身分証明書無いよね。 ああいう登録ってそう言うの必要だと思うんだけど。 ……あれ? 登録するために住民票取り寄せたらそれだけで居場所がバレる?)
考えることが多すぎて頭の中がパンクしそうになった。
(……モンスター倒そう)
ともあれ
レベルを上げて使用時間を増やそう。 まずはそれからだ。
現実逃避しつつ着地点を何とか見出し無理やり結論付けた。
(でも……お金問題解決してない)
振出しに戻った。
どちらにしてもしばらくはダンジョンで食いつなぐしかなさそうだと、諦めに似た感情を抱きつつぬるくなった紅茶で喉を潤した。
(さてと……)
様子を見に行くとするか。
用を済ませ、荷物をアイテムボックスの中に放り込む。
軽く準備運動を済ませると
ギィーギィー!!!!
ビチビチビチビチッ!!!!
『レベルが上がりました』
(
時折足元にある小石を拾い上げ天井に向けて投げつける。
降り注いできた
3階への道が見えてきたところで新しく
(ここまで来るのに
実際には
時計を見て時間を確認し今度は
3階に進む。
(声は……しない)
どうやらセーフティーゾーンからこちらの方には進んでいない様子だ。
後はまだセーフティーゾーンに居るのかそれとも撤退しているのかを確認するだけだ。
もしくは昨日の疲労により出発が遅れているだけか。
(私的には撤退を選んでほしいな)
そう願いつつ昨夜の場所まで歩みを進めた。
(
3階からここまで来るのに40分ほどかかった。
でも
(最低40分は持続するか、良い傾向だ。 それに魔力の回復スピードも上がったみたい)
体内で何かが溜まる感覚が早まった気がする。
明確に目で確認できないのがもどかしいが魔法一つ分くらいは回復した感覚がある。
(
経験値の塊の
(さて昨日の人たちは居るかな?)
念の為岩陰に隠れてセーフティーゾーンを見やる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます