<22>ため息

世界中に

ありとあらゆるため息が溢れたら

不平と不満をずっと

そのまま吐き出せる


そんな世界になったなら


「仕事がつらい」

「生きていたくない」

「いじめたやつを殺してほしい」

「あいつが死ねばいい」


醜い不満が溢れたら

世界が不満で染められたら


私たちはどこへ堕ちていくのだろう

不満しか言えない人間である私たちは

どこへ堕ちていくのだろう


そう思いながらも

私は平気で嘘を吐く


ずっと我慢していた悩みも

愚痴も陰口も

すべて言える、叱られない


そんな世界になったなら


「あいつは邪魔」

「こいつってこんな面がある」

「嘘じゃないよ」

「私は悪くないし」


身勝手な気持ちで溢れたら

世界がはちきれそうになったら


私たちはどこへ堕ちていくのだろう

愚痴しか言えない人間である私たちは

どこへ堕ちていくのだろう


そう思いながらも

私はずっとため息をつく


下にある我慢の感情も知らずに

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