「麗しい君まるで雌イカのような魅力に」今日も頬をさする

 私はついに、本格的に比喩を使い始める!(決意表明)


 比喩といえば、私の中では小説の花形というイメージです。

 作家を象徴する名文や誰もが知るフレーズ。

 かっこいい文章は短いのにバチッとその情景が想像できて、自然と物語の中に没入できてしまう。

 そんな文章を書く人が私の憧れであり、理想です。


 ……なのですが。


 これが実際に使ってみると難しいのなんの!


 まず思いつかないし、入れてもひねりすぎた言い回しで全く意味が伝わらないし、なにより比喩の入った文章だけ力がこもりすぎてて、すごく浮くんですよ!


 もぉやだぁ! おうちかえるー!泣


 と背中を向けてネズミのごとき素早さで全力逃亡することで、どうにかこうにか今日まで生き延びてきました。

 しかし、私の理想への道にヤツは常に立ちはだかっているのです。さながら門番。それも強力な武具を無数に所持する武蔵坊弁慶のようなヤツが静かにこちらを見下ろしているわけです。


 私のような盗人ネズミでは彼を打ち倒し力をものにするどころか、味方にすることさえ難しい。


 それでも今日まで書くという行為をなんやかんや続けたり続けなかったりしたことで、できることは増えてきた気がするのです。だからこそ。


 だからこそ、私はヤツに挑戦する!!


 レベルを上げて、装備を整え、アイテムでカバンはパンパンです。絶対そんなに必要ないのに薬草も99個買いました。これで準備万端!

 あとは絶対に負けられないのでモチベーションを上げるだけ!


「私、この戦いが終わったら結婚するんだ」


 よし、カンペキ! いくぞー!!! 

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