第3話


 婚約破棄されて牢に入ってから、二日が経った。

 そろそろ刑が確定する頃だろうか。


 追放されたらどこに行こう、などと考えていると、コツコツ、と石を叩くような足音が鳴った。


 レイルだ。オリヴィアは立ち上がる。


「レイルくん! そろそろ刑は決まった?」


 しかし、レイルは少し焦った様子で言った。


「話している暇はない。オリヴィアさん、逃げるよ」


 鍵を魔法でこじ開けるレイルを見つめ、オリヴィアは困惑する。状況が分からない。


「――ソフィアが、議会にオリヴィアさんの死刑を求刑してるんだ」


 言葉を失った。


「ど……どうして!? 私、ソフィア様にそこまで嫌われるようなことは……」


 たしかに間接的にはしてはいるが、殺されるほどはしていない。


 むしろ、こちらは婚約者を譲ったのだから感謝してほしいくらいである。


 愛する王子様と結婚してめでたし、ハッピーエンドでいいではないか。


 がちゃん、と鍵が開いた音がする。

 牢の鍵が開くと、レイルはオリヴィアの手を取った。


「とにかく、このままここにいるのは危険だ! 早くこっちに」

「う……うん!」


 オリヴィアはわけも分からず、レイルに連れられ牢を出た。


 

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