第2話


 オリヴィアはレイル・スコットという婚約者の弟君を味方につけることにした。


 レイルは銀髪の長い髪をひとつにくくった線の細い美青年だ。

 兄であるラファエルより素朴で大人しく、まだあどけない。


 男、というよりはまだ男の子……もしくは女の子に見えたりもするくらい中性的で美しい。


 性格も、聡明で無邪気な子だった。歳はオリヴィアより四つほど下だ。オリヴィアにとっても可愛い弟である。


 ラファエルとレイルは、対照的だった。


 紳士然として魔力も強い優等生のラファエルに比べ、レイルは少し頼りなく魔力も弱い。


 王宮でも、ふたりはよく比べられているようだった。


 オリヴィアはレイルに、自分を重ね合わせていた。


 圧倒的ヒロイン感のあるソフィアに比べ、オリヴィアは劣っていた。

 家柄こそ立派なものの、与えられるドレスもあまり好みではない。


 どれもどぎついのだ。

 深い赤色や漆黒など、はっきりとした色のものが多い。オリヴィアとしては、白や淡い桃色などが好みなのだが。


 とはいえ、これ以上ないくらい悪役令嬢らしいので、この服装を変える気はない。

 とりあえず、悪役令嬢でいる限りは。


 オリヴィアはレイルに、素直に今の想いを打ち明け、協力を頼んだ。


 するとレイルは、喜んで手伝うよと頷いてくれたのである。


 貯めた資金はすべてレイルに預けることにして、さっそく悪役として動くことにした。


 とはいえ陰湿な嫌がらせをするというのは、度胸のないオリヴィアにとってはちょっと精神に悪い。


 レイルに相談すると、それなら、と素晴らしい提案をされた。

 影でふたりのお膳立てをする、というものである。

 

 ラファエル王子には嫌われるような言動を取り、ヒロインの前ではつんとする。


 そして、第二王子であるレイルに、影でオリヴィアがこう言ってたああ言ってた、など、散々良くない噂を流してもらった。(若干レイルが悪役王子となった)


 すると、少しづつオリヴィアは学校で孤立していった。

 ゲームの終盤では、学校内でオリヴィアを好く者はいなくなった。

 

 結果、オリヴィアは無事ラファエル王子から婚約破棄を突き付けられ、その後の処分待ちの牢の中に収まった、というわけだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る