第34話 迎撃態勢
「ネビロス、追跡しろ。」
自信のある領域で出し抜かれ、
プライドを傷つけられたDは
先日の侵入者の情報から
経路を割り出してゆく。
『インターネット第二層ニ
痕跡ヲ発見シマシタ。』
ネビロスは無機質なマシンボイス
で処理を続行する。
『目標ト思ワレル座標ヲ発見。
隠蔽工作ノ痕跡ヲ検知シマシタ。』
Dは口元を緩め彼のAIを侵入させる。
・・・ドアに攻勢解除行動を検知。
ファミリアログが彼の意識に
表示される。
主人である彼女に召喚されて
まだそれほど時間は経過していないが
プリセットされた知識が経験として
彼を一個の戦力となし得ていた。
『主様!我が初陣、
しかとご覧ください。』
古風なセリフには似合わない
ずんぐりボディは攻撃を
受けている地点へフヨフヨと見た目に
そぐわない速度で進んでゆく。
アリルは彼の言葉を思い返す。
光の粒子が静かに消える少し前、
【彼の者が再び、我らに害悪を
もたらさん。備えよ。】
彼女は暫く思案し、2体を
起動させた。
フォノアは自らの知覚すら
超える速度を更に加速しようと
翼に力を注ぐ。
・・・超高速巡行モードに移行。
彼女の淡く輝く体は少しだけ
輝きを増し、長く変形した尾は
光の軌跡を残してゆく。
<あら?
何かとすれ違いましたか??>
微かな敵意を感知したが
もはやはるか後方である。
<彼がいるから大丈夫でしょう。
私はお姉様の指示通り目的地に
向かいましょう。>
やっぱり来るよね。
光彦は思う。
プログラミング等のソフト系は
得意ではないが、ハードに関しては
趣味で長年培ったノウハウもある。
もし、ハードの性能で負けるようなら
自分だって勝ちたいと思うよ。
外に出た子達は大丈夫かなぁ。
せっかくアリルが創造した子達
だもの。傷ついて欲しくはないなぁ。
エリカの情報が日本のSNSに
拡散されている様子を眺めながら
ダニエルは準備を整えていた。
Dは攻撃してきた何者かにご執心だ。
きっとエリカが釣ってきた
誰かなのだろう。
自分はまだ潰される気はない。
彼は偽戸籍の準備と整形や
その他諸々の手配をする。
ネット上で管理していた
資産はすべて潰されてしまったが
まだ金はある。
Dが時間稼ぎをしている今は
チャンスなのだろうとドアを開けた。
彼が持ち出した数台のスマホが
淡く光っている事に気付かずに。
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