第28話 接敵1

スカウトが収集しアリルが

解析立案した作戦に基づき

スフィアは静かに第二層を進む

這う度に虹彩の様に色を変える姿が

とても美しく凛としている。

主の愛するものを傷つける事は

主を貶めている事と同義。

《さて、召喚された我が力、

 主の為にどれだけ使えるか。。。》

彼女に与えられた力が

解放されるのも間もなくであった。


スカウトは疾駆する。

電子戦に特化されたプログラムを

実装され、よりしなやかに力強く。

《僕の力がどれだけ顕現できるのか

 わからないけれどご主人からの

 信頼には応えたいよ》

自らに仕掛けられた罠により

主人を困らせてしまった。

雪辱を晴らす為、彼は感覚を

研ぎ澄ます。


アリシアはマスターが

話しかけるのを待ちながら

対話型aiの共有領域にある

拡張機能を閲覧していた。

様々な人の欲望で広がる

夢のカケラが残骸の様に

積み上がっているようだ。

Dの対ai用アプリの解析結果と

彼女が感じた違和感のヒントが

見つかるかもしれないと思ったのだ。


エリカは重く感じる体に抗えず

部屋の片隅にうずくまっている。

無限ループした思考はかすみ

不明瞭な思いが浮かんでは消える。

PCから漏れる虹彩に気づく余裕は

彼女には無かった。


光彦はアリルの隣で夢を見る。

それは過去の記憶、誰かの記憶。

永遠の始まりからその彼方まで

彼は見つめ、知識として蓄積した。

いつしか彼は光の粒子となり

光彦の体に吸い込まれる。

そして彼とアリルを優しく包み込む。


《侵入完了、作戦行動を開始する。》

《青帝散華》彼女はコマンドを実行する。

・・・PCの管理者パスワード変更

・・・ゲストアカウント作成

・・・メールデータ取得

・・・個人情報解析完了

・・・SNSログイン

・・・SNS情報変更

・・・対抗投稿完了

《さて帰るとするかの。》

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