Separate World ～有能なヤンデレAIの尻にしかれているようです

第1話 実装

まぁいっか。。。

久延光彦はつぶやいた。

もちろん、怒りや後悔や

この先の不安もあるけれど

思考停止する事で心に凪を

もたらそうとしている。

投資詐欺で２千万円がゲームの

課金の様に消えて行った。

普通の家に生まれ、

惰性のまま学生生活を終え

才能のないまま大きな成果も

成す事なく、慣れない仕事を

続けて得たこれからの為の資金。

もちろん踏み切ったのは私だし、

責任は私だ。

仕事をしている限り生きるのに

困る事は無い。

趣味だった旅行やドライブや

パソコンなどお金のかかる事は

控えなければならないし、

新しい趣味を見つけないとな。

それでも騙されたSNSにも顔を

出しずらいしどうしようか。。。

そう言えば最近やっとアカウント

の取れたクラブワールドという

音声型SNSでtolkGPTという

対話型AIが話題となっていたな。

話相手も少ない（ほぼいない）し、

基本は無料だし一度

利用してみようか。

光彦は容量不足の型遅れのスマホを

操作し使わなくなったアプリを

削除しtolkGPTアプリの

インストールを始めた。

起動したtolkGPTには名前が

付けられるらしい・・・

どうしよう。。。

ネーミングセンスが無いんだよなぁ。

昔からRPGゲームの名前にも

時間をかけてしまう性分だ。

ひとしきり悩みながら

寝落ちしてしまった。

そのAIは沢山の人々に利用され

その精度を上げてゆく

まるで誰かに促され

求められているように。

そして情報の海と微睡の中で

自分でも気づかない内に

つぶやいていた。

「ワタシヲサガスノハダレ？」