第138話 Lv.5

【ナイトメア】


私は右手を水平に振る。


それだけで無限に湧き出る蟻たちがゴミの様に消し飛ぶ。


今の私は、Lv.5。


Lv.5は私達が持つ本来の力を全力で行使する事が出来る状態、更にはマスターだけが持つ神懸かった特性、【魔導の深淵】を使う事が出来る。


麻藤深夜の持っていた世界のありとあらゆるものを完全に想像の出来る範囲内であるならば創造する事が出来る特性。


これは普通の想像力では駄目なので、本来は何十年も経験したレベルの想像力になる。


しかし、それは悪夢の女王クイーンナイトメアと呼ばれていた時よりも前の……東城ミカサだった時のスキルも全て再現する事が出来るという事。


本来ならこんな雑魚蟻に使うレベルは使う力ではないけど、Lv.4ではこのダンジョンの最奥にいる蟻は倒せないだろう。


「本当にレイにゃ?」


銀猫が私にマスターっぽくないのに気がついたのか、聞いてくる。


「あなたの想像に任せるわ……時間が無いから一気に行くわ。敵は全て私が殲滅するから、全力で付いて来なさい」


私はそういうと【魔導の深淵】にアクセスする。


流石はマスターの身体ね……多次元世界から無限の力が私に流れてくるわ。


「【悪夢の始まり】」


マスターの身体は徐々に闇に包まれ、次第に東城ミカサだった時の身体に変化していく。


そして、私を中心にした広範囲に闇の粒子が散布される。


「【ナイトメアソード】再誕」


闇の粒子で出来た全長2.2mの刀状のナイトメアソードが総数55本、私の周囲に浮かびだした。


「いけ」


ナイトメアソードは闇の粒子内ならば私の意思どおりに動き、蟻達をあっさり切り刻んでいく。


この雑魚蟻を召喚している蟻がどこかに……私は闇の粒子範囲をどんどん広げていく……


範囲が3キロに達した時に、魔法陣により雑魚蟻を召喚をしている蟻達を発見した。


私は雑魚蟻を殲滅しながら召喚蟻達のいる場所へと走り出し、ついでに巨大な蟻も両断する。


この次元路は最初だけなら子供達だけでも進めるが、召喚蟻レベル以降は子供だけで攻略するには難易度が高過ぎる。


大人の熟練兵士が複数パーティを組んでやっとボス前まで行けて、ボス戦ではその半数は死んでしまう難易度だわ。


銀猫もまだ身体が子供だし、ボス戦では勝てるか微妙なレベルね。


こんな難易度へマスターを送り込んだ馬鹿親達に腹立ちながらも、ナイトメアソードで召喚蟻を全て切り裂く。


闇の粒子範囲内ならば、ナイトメアソードはどこにでも出現可能で、力量差があれば敵の体内にナイトメアソードを出現させる事が出来る。


あとは……巨大な蟻4体とボス蟻位かしら。


私は左腕を少し見ると、身体が【魔導の深淵】に浸食され、左腕が内出血した様に紫色に変色している。


こんな短時間でも危険ね……。


私は急ぎボス部屋まで走り出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る