第133話 ガーズブランド②

前方のソルジャーアント達はエレナとブラットに、後方はアオイとカリューンに任せても大丈夫そうなので、殲滅するまでにガーズと話をしておこうと思った。


「まず、何でケイトさんを死魂召喚しようとしたらガーズが出てきたの?」


「ふむ、それはアルテミシアとの契約時には本来ならばケイトの魂のみが契約対象だったのだが、何故か私の魂も対象になっていてな。別次元の高位生命体からの契約による強制力により私の魂とケイトの魂が半融合してしまって、二重人格みたいになってしまったのだ」


「なるほど?」


アルテミシアの存在がヤバイのは分かるが、相当ヤバそうだな。


僕は隣にいる静かなアルテミシアをチラッと見る。


「それは私のせいでは無いぞ? 彼女がそのガーズという者と離れたくないという強い意思がそうさせたのだ。そもそも武器と装備者の魂が混在していたのもおかしな話なのだぞ」


「ふむ……それでケイトさんは?」


二重人格みたいなものならば、ケイトさんの魂もある筈だよな。


「ケイトの魂は裏っ側にいるが、【死魂召喚】

になれる資質があったのは私だけだから、今のところは死魂兵として召喚されるのは私だけになる」


「ああ、死魂兵になる資質って、深い怨念が必要っていうアレか」


「そうだ。私には強い怨念があるが、ケイトには怨念が無い。まあ、強い思念があるから私の魂と半融合してしまっても消えることは無いから、魂を移す肉体が出来るまで耐えられるだろう」


「あ、そう言えばケイトさんは人造生命体になってしまう事には了承してるの?」


「それは大丈夫だ。多少の条件はあるが、些細な事だ」


「なるほど」


それじゃあ、本格的にホムンクルスを造らないとな……一応、ゲート内にホムンクルスが一体は残っているけど、容姿的に駄目だろうからケイトさんに合わせて専用設計しないと……。


「話は終わったか? 私はそろそろ帰らせてもらうぞ」


アルテミシアはそんなことを言う。


「帰るって? どこに?」


「私の本来居るべき別次元の世界だ。この世界は出るのは出来ても再入場するのは至難の業なので、再び会うことはないかもな」


「もう少しいられないんですか? いろいろ聞きたいんですが」


「それは無理……私がこれ以上、ここにいればこの世界に良くない事が起きてしまうから時間はほとんど無いのよ」


むむ……もう少し情報が欲しいのに……。


しかも、今を逃すともう聞けないみたいだし……。


「そうね……なら、あなたについてのヒントをあげるわ」


「ヒント?」


「あなたと他の人が見えている世界が同じだと思っているみたいだけど、違うということを自覚した方が良いわよ。あと本来の魔導には多次元に干渉する特性と経験を統合する力があるわ……あなたの場合は魔導というもの自体を勘違いしているみたいだけど……そろそろ限界ね。あなたから会いに来てくれる事を願ってるわ」


アルテミシアは言うだけ言って、あっさりと消えてしまった。

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