第132話 ガーズブランド

「エレナ、ブラット! もう少しだけ二人で耐えられる!?」


僕はケイトさんを死魂兵にする決意はしたが、現在二人だけで前方のソルジャーアントの群れを抑えている二人も心配なので声をかける。


「おう! 全然余裕だから、こっちは気にするな!」

「大丈夫にゃ!!」


二人とも限界が近いだろうけど、無理して平気と言ってくれる。


なので出来るだけ早く終わらせたい。


僕はアルテミシアの肉体に向かって【死魂召喚】を使う。


すると、アルテミシアの肉体から光の珠がふよふよと浮いて出てくる。


よし、ケイトさんの魂でも【死魂召喚】は可能らしいぞ。


『ほう、【死魂召喚】とはこういうものなのか……むっ、これは神核の……いや、まさか世界を超越している? なるほど、魔導の王は』


僕はすぐさま【死魂召喚】を実行する。


【死魂兵・ガーズブランドを召喚しました】


ん?


一瞬、脳内アナウンスの意味が分からなかった。


僕はケイトさんを【死魂召喚】したはずが、ケイトの契約者であるガーズブランドが死魂兵になったんだが、何故だ?


光の珠が徐々に人型に変わっていき……死魂兵ガーズブランドが姿を現すのだけど、死魂兵化した姿に僕は驚く。


「え?」


僕の中でのガーズブランドは、老剣士みたいな感じだったのだけど、現れたガーズブランドは中性的な雰囲気のある少年だった。


ガーズブランドの見た目は真っ黒なトゲトゲした短い刃が沢山付いた金属鎧を着ていて、身長160位で茶色い髪色に青黒い瞳の女性みたいな少年で背中には身長と親父くらいの長さがある真っ黒な大剣を背負っている。


「私は契約者であるケイトの代わりに死魂兵となった呪剣士ガーズブランドだ。ガーズと呼んでくれ」


「え、喋れるの?」


「ああ、他の死魂兵とは年期が違うからな……それよりも、まずは前線の助太刀をしよう」


「ああ、うん。まずはエレナやブラットの助太刀をして」


「了承した、【呪装剣ガーズブレード】よ……我の敵に負傷な呪詛を与えよ……【呪刺傷】」


ガーズブランドの持つ真っ黒な大剣から禍々しい気が放たれると、禍々しい気はエレナ達が戦っているソルジャーアントの方へと流れていき、ソルジャーアントの身体を通過していく。


禍々しい気が通過したソルジャーアントの身体には至るところに切り傷みたいな傷がどんどん増えていき、動きも鈍くなっていく。


【呪刺傷】のおかげか、エレナとブラットの殲滅速度が劇的に上がる。


「凄いスキルですね」


「私は呪詛を得意とした呪剣士だからな」


「それじゃあ、後方のサポートもお願い」


「了承した」


ガーズはアオイとカリューンの方にも【呪刺傷】を使う。


これで戦闘は大丈夫そうだな。


「ガーズはサポートと近接戦闘の両方が出来る万能タイプ?」


「いや、私は呪装剣を使う呪剣士だが、近接戦闘は全く出来ない」


「え? 剣なのに?」


剣士だから近接戦闘は当たり前かと思っていたから、混乱する。


「うむ、呪装剣使いだからな、遠隔呪詛しか出来ない」


えええ……。


呪装剣を使う呪詛士って事か?


「その鎧は?」


明らかに近接戦闘用の全身鎧を着ているのは何故?


「ああ、これは呪詛力を上げてくれる呪鎧だ。魔法使いのローブみたいなものだな」


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