第114話 アオイ②
【アオイ】
『あなたは私の管轄外の世界に転生したので、私が勝手に死なせたりは出来ないのです』
『そんな……』
それじゃあ、私はずっと暗闇の中で孤独に生きろと?
自殺も出来ないし……。
『あ、自殺は出来たとしても推奨はしません』
『何でですか?』
『自殺は魂の穢度が高いので、次の人生で想像を絶する苦労が待っています。きっと今よりも過酷です』
『……』
これよりの過酷な状況って?
嫌すぎるんですけど……。
『それじゃあ、私はどうすれば?』
『私がこの世界の神と交渉して改善できる様にしますので、しばしお待ち下さい。それと、今回の件は私の失態なので何か願いはありますか?』
『願い……何でも良いんですか?』
『私に出来る事ならですけどね』
『そしたら、私達を殺した悪神と眷属に復讐したいです』
『……復讐ですか。それはなかなか難しいと思いますよ』
『それは、何故ですか?』
『単純に強いからです。悪神はもちろんですが、眷属ですらかなりの強さです』
『それでも構わないので復讐出来るチャンスを下さい。私達を悪神達と同じ世界に転生してくれるだけでも構いません』
『……幸いと言うか不幸言うか、あなたの転生した世界にあなた達を殺した眷属がいますから、出会うチャンスはあります。ですが、眷属は凄く強いです。しかも特殊な力が無いとダメージすら与えられないので、本当に勧められません。それでもやりますか?』
『やります』
私はもちろんだけど、私以外の怨念は復讐しなければ報われないところまで来ているのだ。
だから、復讐は絶対やらなくてはダメだ。
『仮に私達が出来なくても、誰かにやってもらいたい。その為なら何でもやります』
『分かりました。でしたら、私も助言をしましょう』
『ありがとうございます』
私達は復讐をする為の計画を話し合った。
その結果、やはり私達には直接出来ない事が確定した。
しかし、別の方法なら……
★
私達は、とある神の支援により鎧を動かす為の義体を手に入れ、レイという子供のダンジョン攻略を手伝いする事になった。
この子供は私達の復讐を達成してくれる唯一の希望らしい。
だから、絶対に護らなくてはならない。
★
ダンジョン攻略は順調だった。
やはりレイという子供は凄い能力を持っていて、私達では解決出来なさそうな事もアッサリと解決し、ダンジョンを攻略していった。
この調子なら……
★
順調だったダンジョン攻略が一転、ボスっぽいスライムが変形して私達は苦戦を強いられていた。
なに、このチートスライムは……。
このチートスライムに勝てる未来が見えない。
これは計画を前倒しにしないとダメなのかしら?
どうしよう。
計画を前倒しにして、どんな影響が出るのか全く分からない。
だけど迷ってる暇は無いみたい。
チートスライムは何故か身体がどんどんと大きくなっている。
……この感覚は知ってる。
モンスターが自爆する時と同じだ。
私は自然と身体が動き、みんなを庇う様に盾を構えた。
★
私は仰向けで倒れていた。
身体は全く動かない。
きっとあの自爆のせいで義体が蒸発したからだろう。
それに鎧もほとんど壊れているのが理解出来た。
……これは長くは保たないわね。
これは、やっぱり計画を前倒しにするしかない。
あとは、レイくんが受け入れてくれるかだ。
そこは信じるしかない。
「レイくん、頼みがあるの……」
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