第12話 多次元干渉スキル②

 さてと……【多次元干渉】を使い、多次元世界への干渉を開始しよう。


 多次元世界とは、金髪美女話ではこの世界と隣合わせになっているが、交わる事の無い近い異世界というものらしい。


 そして、多次元世界は時間の流れ方が違い、【多次元干渉耐性】というスキル無いと、急激な時間の変化などには肉体が耐えきれず、戻ってきたら急に老化したり、肉体が崩壊したり、精神崩壊したりするらしい。


 急に老化って、浦島太郎みたいなものなのかな?


 まあ、自分には耐性があるから関係ないけど。



 ★


 自分は金髪美女から教わった【多次元並列思考】に意識を集中させる。


 うわっ……なんだ、このスキルは……。


 並列思考のせいなのか、イメージでいうと人格が分裂した感じではあるけど、人格が分裂している訳ではないから、人格は1つでもあるという矛盾感が酔ってるようで、本当に気持ち悪い。



 それから、数十分間ではあるが【多次元並列思考】を集中して意識する事でだいぶ慣れてきた。


 そろそろイケるか?


【多次元並列思考】で、メインの思考は多次元世界に行くとして、サブの思考は身体を守る意味合いでベットに残す。



 いざ、多次元世界!



 ★


 ……。



 ……。



 自分の思考が多次元世界に到着したら、視界はいきなり血のような赤い柱や梁のある巨大な通路に居た。


 そして、巨大な通路の先には、通路以上に巨大な金属製の真っ黒な門が見えていた。


 これが多次元世界?


 思っていた亜空間的な場所とは全く違い、まるで地獄の門の様な……あれ?


 この門、何故か見覚えがあるぞ?


 こんな恐ろしい印象の門なんて、前世ではある筈がないのに、自分には馴染みの門に見えてきた。


 何でた?


 まあ、この通路にいても仕方ないから、あの門に向かうか。


 あ、もしかして、あの門が【マナゲート】?


 名前的にはピッタリとは言い難いがゲートと言えばゲートだ。



 ★



 自分が巨大な門の近くまで来ると、女の子のげんきな声が聞こえてきた。


「そこっ! キビキビ歩くっす!」


「ちょ、君はそっちじゃないっす!! 間違えたら僕がどやされるから、間違えたら駄目っす!」


「ああ、はいはい。君はあっちっすね」


 何だか忙しそうではあるが、女の子の話している相手が全く見えないから、大声で独り言を言っている痛い女の子に見えるのだが……誰か女の子の近くにいるのか?


「あっ!? もしかして新しいマスターっすか?」


 女の子は自分に気が付いたのか、パタパタと小走りで近寄ってきた。


「新しいマスター?」


 新しいマスターってなんだろう?


「あと、せっちゃんから、そのうち新しいマスターが来るから、丁寧に対応してねって言われてるっす! だけど、僕がマスターにやってあげられる事は少ないっすね」


「せっちゃんって誰?」


「せっちゃんはせっちゃんっすよ! マスターはあった事ある筈っすよ」


「あ〜、あの金髪美女がせっちゃんか」


 あの金髪美女は名前を教えてくれないから、分からなかったが、せっちゃんって言うのかぁ。


「ん? せっちゃんはマスターと同じ黒髪っすよ?」


「えっ? 黒髪?」


「そうっす。せっちゃんは黒髪ロングの悪魔系美女っす!」


「え、黒髪の美女なんて知らないよ?」


「あ〜、なるほどっす。その話は後回しの方が良さそうっすね。じゃあ、サクっとマスターの【マナゲート】に飛ばしちゃうっす!!」


「えっ、ちょ!?」


 女の子が両手で自分の腕をガッチリと掴み、巨大な門へと投げ飛ばされた。




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 名前・レイ(0歳)

 状態・良好

 属性・※※※

 職種・ジョブホッパー

 種族・※※※


 パッシブ・素材の極み、魔導の極み

      転職の極み、多次元並列思考

      多次元干渉耐性、真素認識


 アクティブ・魔導操作


 固有スキル・ジョブホッパー

       


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