外伝 〜ヴァン・ヘルシング教授の助手・20世紀初頭編〜 Inside story 〜Dr. Van Helsing's Assistant・The Early 20th century series〜

スグル

まえがき、設定について

 本編の第二部、『1 エイブラハムとヴラド』で前述しました“別の機会”――外伝が始まります。

 第一部、ホーエンツォレルン城から帰ってきた二人のその後のお話(第一部と第二部の間の、10年間の出来事)。要するに後日談であり、前日談でもある、“中日談”?


〜ヴァン・ヘルシング教授の助手~

第一部、第二部(本編)↓

https://kakuyomu.jp/works/16817139557497381563


 設定上、1901年から1910年の間が“同時”に存在します。

 さっきまで1901年だと思いきや1905年初登場のものが出てきたりとか……。

 サザエさん方式行くぜ! それともコナン方式?


 退治したはずの吸血鬼、ドラキュラ伯爵が蘇り、なんとヴァン・ヘルシング教授の前に現れた。

 シュヴァルツヴァルト、ホーエンツォレルン城での吸血鬼騒動を終え、無事にオランダ、アムステルダムへと帰還した二人。いつも通りの平穏な日常が戻ってくると思いきや――。


 利害が一致した? 二人は、人間にも吸血鬼にも止めることは出来ない!?

 異色のコンビがここに爆誕っ!


 原案:エイブラハム“ブラム”・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』


※この話はフィクションであり、実在する(した)人物、団体、建物などとの関係は一切ございません。


『吸血鬼ドラキュラ』を読み終わって、この二人、利害が一致したら怖いものなしなんじゃ……とふと、思ってしまったんです。


 こんなのドラキュラじゃない! と思われました方はそっと、回れ右してください……。

 これは二次創作ですっ!!





✔主な登場人物


◎エイブラハム・ヴァン・ヘルシング

【Abraham van Helsing】


 愛称:ブラム(伯爵が時々そう呼んでいる)

 アムステルダム市立大学の教授で、専門は精神医学の医者。

 深い青色の瞳に赤みがかった髪の60代後半の初老。縄手式の丸眼鏡。眼鏡がないと足元すらまともに見えないぐらいの視力、並びに老眼。

 医学博士の他に文学博士など、色んなことに精通している。語学堪能。

 最近の悩みは、ただの医者なのに吸血鬼退治人と思われていること。ヴラドの女姿やコウモリ姿が可愛いと思ってしまうこと。ホーエンツォレルン城で吸血された首の噛み傷がまだ治らない! 吸血痕のせいで夜な夜なうなされ、寝不足気味なこと。

 恋には奥手。と、いうよりは年も年なので言い寄られても辞退する、男やもめ。

 去年11月に突然伯爵がやってきて家に住まわせることとなった。



◎ヴラディスラウス・ドラクリヤ

【Wladislaus Drakulya】


 ワラキア公国元君主で、ヴァン・ヘルシングのパトロン(資金集めの方法については、『詳しくは、ブラム・ストーカーを読め』)、兼助手の吸血鬼。

 燃え盛る炎のような真っ赤な瞳に血のように真っ赤な唇、黒髪に黒い口髭。象牙のように真っ白な、尖った犬歯。首には切断の痕があり普段はスカーフで隠している。外見は中年の紳士。

 語学堪能、動物との意思疎通も可能。家事全般得意。

 最近の楽しみは、エイブラハムと色んなところを散策すること。変身してエイブラハムをからかうこと。ココアを嗜むこと。医学書を読んで“実践”すること(実験体はもちろんエイブラハム)。“温活”すること。悩みは、冷えた血ではなく、たまには温かい血が飲みたい……。

 気になった人にはとことんアタックして“落とす”タイプの男やもめ。

 棺は四次元◯ケット。

 去年11月にヴァン・ヘルシングに復讐しようとアムステルダムを訪れたが、生前のことを思い出し、住み込みで彼の助手になることとなった。


 二人の人物紹介については本編の前書き、設定を読んでいただければと思います。




 


◎アドリアン・バース

【Adriaan Baas】


 アムステルダム市立大学医学科に通う学生。

 ヴァン・ヘルシングから個人的に吸血鬼の話を聞いており、伯爵のことを少々恐れている。

 去年11月頃よりヴァン・ヘルシングに“夜な夜な美しい少女と密会してる”という噂が立っており、それを気にしている。

 結婚願望はあるがなかなか……。

 2歳上の姉、クララがいる。双子というわけではないのに何故かくりそつ。よく双子と間違われる。身長はアドリアンの方が5センチほど高い。



◎クララ・バース

【Clara Baas】


 アドリアン・バースの姉。アムステルダム市内の洋服工場で裁縫(足踏みミシン)、洋服作りを仕事としている。細かい作業が多い為かヴァン・ヘルシング同様丸眼鏡を掛けている。

 趣味は絵を描くこと。

 ベルテ・ホーラ・ファン・ノーテン【オランダ人、19世紀の植物画家】とアルフォンス・ミュシャに憧れ、時折模写している。

 ニュー・ウーマン【新しい女。19世紀末から広まり始めた新時代の女性像】もびっくりの“斜め上を行く”人。

 





✔ヴァン・ヘルシングのアパートや間取りについて


 ヴァン・ヘルシングの住まい→アムステルダム市内の4階建て及び屋根裏のアパート。両隣に同じような感じの建物が続いている。びっしりと!

 1、2階はアパートの大家の住まいで、3、4階及び屋根裏がヴァン・ヘルシングの住まい(借家)。入り口は無論別になっている。


 3階→リビング(ダイニングルーム)、キッチン、シャワールーム、トイレ、物置、エイブラハムの寝室


 4階→書斎、物置、ヴラドの寝室

 屋根裏→書斎に入り切らない書物や道具などなどが置かれている。

 明かりは主にオイルランプや蝋燭。オイルランプは、夜はとくに必需品。電気は通っているが、節約の為に電球は付けてない。懐中電灯もあるけど……。


 家のすぐ目の前に細い運河が通っており、元々は商家の事務所兼小規模の倉庫だったが18世紀にフランスの支配下に置かれ、商業組合は解体された。運河沿いの事務所や倉庫はアパートへと改装されていった。裏側は庭になっている(他人の敷地)。

 この頃“間口税金(玄関の大きさで税金の額が決まる)”というものがあり、オランダ人は極力玄関を小さくした。そのため家具が玄関から入れられないので、建物の側面上部に付いている滑車(ウィンチ)を使って宙吊りさせながら、窓から運び入れていた。

 この時代黒死病の原因が発見され、週一でシャワーに入るようになったが、バスタブ、洗面所はまだなく、顔を洗ったり歯磨きはキッチンの洗い場、若しくは洗面器に水を入れて洗っていたと思われる。洗濯も、桶に水を溜めて洗っていた。シャワーを浴びるのは医療行為と思われていた。無論ボイラーはまだ一般家庭にはないので、出てくるのは冷水のみ。シャワーも同様。お湯で洗いたい時は桶にお湯を溜めて、タオルで身体を拭いていた。

 トイレはもう水洗式でペーパーもある。だけどティッシュはまだ存在しない。

 冬、主に暖を取っていたのはキッチンの薪ストーブ。薪代節約として。オーブンが付いているので、鶏の丸焼きは出来るでしょう。

 冷蔵庫は氷塊を入れるタイプの木製の氷冷蔵庫。数日置きに氷屋がやってきて氷塊を購入する。

 電気(照明の)も一応通っているが節約のため使ってない。

 本編でのヴァン・ヘルシングの家での記述と違う箇所があるかもしれませんが、外伝の方が正しいです。悪しからず……。

 一応19世紀末のアムステルダムのアパートを調べて作成しましたが、実際の当時のアパートよりも快適すぎるかも……。


 現アンネ・フランクの家の近くに住んでいる設定。


 作中のアムステルダム市立大学の設定ですが、現アムステルダム大学法学研究学院の場所を当時の大学と捉えることにします。19世紀のアムステルダム大学を調べても、オランダ東インド会社本社とか、旧アムステルダム市立病院、そして法学研究学院(元は17世紀初頭の老人ホーム。18世紀半ばに改装され、19世紀後半にアムステルダム市立大学所有となった)ぐらいしか分からなかった……。

 因みにアムステルダム市立大学は当初小さな専門学校で1877年まで博士称号授与の権利がなかった。同年に大学へと昇格した。


 投稿が途絶えたら、教授と伯爵はチェイテ村に行ったのだと思っていただければ幸いです……。



 外伝 〜ヴァン・ヘルシング教授の助手・20世紀初頭編~

Inside story 〜Dr. Van Helsing's Assistant・The Early 20th century series〜


 始まります。


 訳注については【】内に表記します。




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