第10話

田代

「黒川社長、聞きましたよ、水野会長から……。社長の思い通りになったんですね、葉山のプロジェクト。」


黒川

「ああ、タカぼうが骨折ってくれてな、古い同級生とも仲直りしたって訳さ。」


田代

「何はともあれ、おめでとうございます。これから忙しくなりますね。それは、そうと黒川社長の子供時代の事は、よく聞いたんですが、今の黒川社長のご家族とかの話は伺った事が無いんです……。社長は秘密にしておられるのでしょうか?」


黒川

「ああ、周りが騒がしくて、そんな話をする事も無かったな……。別に隠してる訳じゃ無いんだが、若い時は散々遊んで傷付いて……。結婚も二度ほどして、子供も5人居るんだよ。だけど、今は離婚して、子供も手が離れて、独り暮らしって感じだな。」


田代

「一度に話されましたが………それは大変な人生でしたね。すみません、興味本意で聞いてしまって。」


黒川

「まあ、隠す事でも無いし……、ただ、こんな歳に成っても、シングルと分かるとチョッカイ出してくる軽薄男子が居てさ、あまり話さないようにしてるっていうのも有るんだよ。」


田代

「素敵なお友達に囲まれていらっしゃるので、お寂しくは無いのでしょうけど。本当に立ち入った話をして申し訳有りませんでした。」


黒川

「まあ、私は元来明るい性格だからさ、プライベートな話にナンクセ言われても、直ぐに切り返して話が出来るからさ。」


黒川社長と田代はお昼ご飯を終えてオフィスに帰る。


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