第8話
水野
「こんにちは……、佐々木社長おられるかなあ?水野エネルギー(株)の水野と言うんだけど?」
大貫不動産の社員
「水野様ですね。只今、佐々木に連絡を取っておりますので、しばらくコチラの部屋でお待ち戴けますでしょうか?」
水野
「うん、頼むよ、30年来の友達が訪ねて来たと伝えてくれますか?」
……… 30分後 ………
佐々木
「やあ、水野君、久しぶり、元気にしてた?フックラしちゃって……幸せ太りかい?さぞかし奥方の手料理が旨いんだろう?」
水野
「佐々木さんこそ……表情が幸せそうで、何より……きっと仕事のほうも順調なんでしょう?」
佐々木
「仕事のほう?そうだなあ、順風満帆って程じゃ無いけど、まあ順調かな。」
水野
「佐々木さん、葉山のレジャーランドのほう……一緒にやらせて欲しいんですが、私の妹みたいに可愛がってる社長がいるんですが、グレートブリテン・テクノブラッシュアップという………。」
佐々木の表情が急に険しくなった。
「水野君、その女社長って………?」
水野
「ええ、タエちゃんですよ、あのイジメッ子だった………。」
佐々木
「小学3年生の時だったかな、タエちゃんにイタズラで上履きを捨てられてね、泣いて帰った事を思い出すわ。4年生の時にはトイレで彼女にイジメられてね……。まあ、子供の時の話だから、本気にする事じゃないんだけどね。」
水野
「佐々木さんには、それらの出来事が心の傷になっているのかもしれないですからね。実はタエちゃんが、佐々木さんに謝りたいと、今日来ているんです。会ってやってくれますか?」
佐々木
「ああ……。」
その時、ドアが静かに開いて、黒川社長が目線を下げながら、済まなそうに入って来た。
黒川
「佐々木さん、その節は、真に申し訳有りませんでした。佐々木さんの気持ちも考えず申し訳無い事をしてしまいました。この通りです、許してください。ゴメンなさい……。」
黒川社長は床に額を着けて深々と土下座をしている。
佐々木社長は少しずつ強張った顔が穏やかになり、黒川社長の肩に手を置いた。
佐々木
「タエちゃん……もう良いよ……確かに俺の心は晴れない日が続いたけれど、その反骨精神のお陰で、今まで頑張れたんだ。むしろお礼を言いたい位だよ。」
黒川
「佐々木さん、本当に、ゴメンなさい……。」
佐々木社長は黒川社長の手を引いて、自分の隣に座らせた。
佐々木
「タエちゃん、数十年の間、刺さっていたトゲが取れたみたいだよ。
タエちゃん、いや黒川社長、葉山のレジャーランドのプロジェクト、一緒に取り組んでくれますか?」
黒川
「佐々木さん……ありがとうございます……。」
佐々木
「今だから言うんだけど、葉山のプロジェクトは圧力を使って強引にやろうと思っていたんだ。黒川社長と共同でやるっていう事で、少し様子を見ながら平和的にやれそうだよ、ありがとう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます