第39話 グッズ販売
「ネトラ、みんなにお詫びしなければならないのだ……。ネトラ、美玖と別れてしまったのだ」
《知ってる!》
《さたんが言ってた》
¥10000
《おめ!》
¥50000
《新しい
「み、みんな……やさしいのだ!!!」
《かまわんよ》
《ネトラかわよ》
蓮とは対照的に俺はRTubeから、その活躍の場をUTubeに移しつつあった。
「どうも、またまたコラボさせてもらったミランだよ!」
《コラボって草》
《レギュラーじゃんw》
「変わり映えのしないキャラでいつも済まない。ミランは帰っていいぞ」
《なつみん毒舌w》
《ミランに厳しい》
「あ、あのー私みたいな素人がぁー出てもいいのかなぁー、なんてったりー」
《クリスティーキタ!》
《たどたどしいの好き》
クリスティーの中の人は星乃で、サブチャンネルの解説でちょこちょこ、くせっ毛金髪に鹿撃ち帽、インバネスコートを着てるというまた
ただ4人でダベりながら、ポートピア連続殺人事件やたけしの挑戦状などのレトロゲーを生配信でプレイするだけでバズりにバズってしまっていた。
クリスティーは出演すると毎回、緊張していてたどたどしい口調が、考察パートになるとキリッと締まるのがリスナーにやたら受けている。
「見てくれてるみんなにお知らせがあるのだ。待望のボクたちのグッズが出来たので、詳しくは概要欄のURLから見てほしいのだ」
《マジ!?》
《買うぞ、オレは!》
《待ってた!》
《ミランもあるの!?》
「その前にみんなに大事なことを伝えなければならないのだ。ボクは蓮の家族の経営する会社からグッズを作ったのだ。蓮はボクの彼女だった美玖を寝取ったり、枕営業したりしていたけど家族は悪くないのだ……。どうかグッズの出来の良し悪しで評価してほしいのだ!」
リスナーに加賀山アクリル工業への
《すげえ!!!》
《なっ!?》
《みんなかわよ!》
《プリントきれい!》
「誉めてくれてありがとうなのだ! みんなの期待を裏切らない出来なのでぜひ買ってほしいのだ」
加賀山社長の引責辞任と新社長の俺を
なにより加賀山相談役が蓮を甘やかさずに勘当したということも大きかったのだろう。そのこともリスナーに伝えると……。
¥252525
《蓮ざまぁwww》
¥500000
《スカッとした!》
¥494949
《惜しい人を亡くしたw》
《おめ、ご
¥1000000
《香典です》
《↑大草原》
蓮と美玖のエロがなくなり、登録者数が減るかと思ったのだが、まったくそんなことはなく、チャンネルの転換は比較的好評と取られている。
もちろん蓮と美玖の生配信は賠償金代わりに買い取ったようなものなので、アーカイブ化、デジタルタトゥーとしてきっちりと刻まれていた。
加賀山アクリル工業が落ち着きを取り戻したことで俺はかねてから計画していた事業に着手している。
それがリスナーたちに紹介したグッズ、アクリルスタンドだった。
債務をすべて返したあと、残った資金で紫外線で硬化するインクを用いたUVプリンターを導入し、【アクリスタル】規格の高品位のアクリルスタンドを販売し始めたのだ。
アクリルスタンドは原価が安いわりにそれなりの値段で売れる。
そう大事なのは付加価値。
キャラの魅力によるものが大きい。
よそのキャラクターを使えばかなりの版権使用料がかかるが、ネトラとサタン、そしてなつみんはうちのチャンネルのオリキャラだから実質しぶみるい先生へのデザイン料しかかかってない。それも姫野のお友だち価格だから。
材料費とデザイン料程度しかかかってないのだ。
『もし、わたしが辞めさせれちゃったら、せんぱいに永久就職するつもりです』
なんて姫野は言っていた。うちのチャンネルは姫野の所属する事務所に比べると蟻と巨象なんだけどな。
姫野は所属する2.5次ライブのプロデューサーにうちのアクリルスタンドをプレゼンして、ミランや2.5次ライブのVTuberもうちで委託契約しないとうちのチャンネルに移籍するぞ、と迫ったらしい……。
配信を終えると加賀山相談役からさっそく連絡があった。
「結月社長、たいへんです!」
「ホームページが……」
「またウィルスやイタズラのメールで回線が遅延したのですか?」
「それが……」
相談役が口ごもってしまったので、なにごとかとHPを確認してみると……。
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【加賀山アクリル工業ONLINE SHOP】
平素は
只今、アクセスが集中しており、購入画面への移動が遅延しております。ご迷惑をおかけいたしますが、時間を置いて再度アクセスしていただきますようお願い申し上げます。
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うおっ!?
まさかとは思って念のために作っておいた遅延ページが表示されていたので、俺は驚いた。
アクセスが集中し過ぎていたのだから。
こんなの人気アーティストのライブチケットか、限定美プラのホームページでしか見たことねえ!
「社長ぉぉぉ!!! 注文が殺到して、生産が追いつきそうにありませ~ん!!!」
相談役はまさにうれしい悲鳴をあげていた。
加賀山アクリル工業へ出向くと、瑠華ちゃんが俺の姿を見かけるとわーっと駆け込んできていた。
「結月さん……いいえ、結月社長! 用意していた分、すべて完売しちゃいました!!!」
「ほ、ほんとに!?」
クラファンですでに5万件も受注が入っていたので、多いかなと思いつつも倍の10万個作っておいたんだけど、1日で完売とかおかしいでしょ!
「つぶれて路頭に迷うかと思っていたのに、2億円の売り上げなんて……信じられません。拾ってくださった結月社長にずっとお仕えします! えっちなことは不慣れですのでやさしくしてくれるとうれしいです……」
まさか瑠華ちゃんはむっつりな子なのか!?
瑠華ちゃんは内股をすりすりさせて、親指を口に咥えながら恥ずかしそうに俺から顔を背けていた。
瑠華ちゃんのアピールに戸惑うが彼女は俺が好きというより、恋に恋する乙女なんだろう。ちゃんと伝えないといけないと思っていると星乃からLINEが入る。
【めぐみ】
《間男と美玖が面接受けてる》
【麟太郎】
《面接? なんの?》
《セクシービデオ!》
《それも
《マジ!?》
《ホントみたい》
S・EXはマジックミラー号やSSR級素人などの人気シリーズを抱えるセクシービデオ業界の大手。ついに恥も外聞も捨てたのかと思ったんだが、あいつら病院行ってないんだろうか?
性病検査もそうだけど、頭の方も……。
―――――――――――――――――――――――
フォローとご評価の伸びしろは、もうなさそうなので少し早いかもしれませんが、あと1~2話で完結させようと思います。元々10万字予定ですし……。
ここまでおつき合いくださり、ありがとうございました。本当にたくさんの方に尖りに尖った作品にも拘らず、お読みいただき感謝の言葉もありません。
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